進む資源スタグフレーション 需要減の中、高値を更新する原油・穀物…

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原油価格の先高感が強まっている。焦点は3月5日にウィーンで開かれるOPEC(石油輸出国機構)総会だ。イランとベネズエラなどが提案するとみられる減産が実現する可能性が高いとして、足元の原油価格は上昇傾向にある。2月19日には、ニューヨークWTIが史上初めて終値で1バレル=100ドルを突破した。ベネズエラは米エクソンモービル向けの石油輸出を停止すると発表している。産油国側の強気の姿勢が目立つ。
(週刊東洋経済3月1日号より)

今後の原油価格を見るうえで最大のポイントとなるのは米国需要だ。米国は世界の石油需要の4分の1を占める。その米国の景気が減速している。国際エネルギー機関(IEA)の予想では北米の2008年需要は0・2%減少する。

一方で新興国需要の伸びは高水準が続く。IEA予想では中国の需要が5・8%増。中南米や中東も高い伸びが見込まれる。世界全体需要は1・9%増予想。だが2月13日に発表されたこの予想は、1月16日の2・3%増から下方修正されたもの。毎月のように見直されるので予断は許さない。市場関係者の間では 07年並みの1・2%増程度の伸びという見方が多い。

米需要減を新興国需要増で相殺するデカップリングシナリオが成立するなら、原油価格のカギを握るのは供給サイド。2月6日に発表された米国原油在庫は04 年3月以来最大の増加となるなど、在庫は増加傾向にある。こうした情報を基にOPECでは減産を求める声が勢いを増す。
 
 ただ足元のWTI先物オプション市場では1バレル=60~75ドルを行使価格とするプットオプション(売る権利)が約10兆円分ある。「原油価格が下がってくると、売りが売りを呼ぶ展開になり、年前半に70ドルまで急落することも考えられる」(住商キャピタルマネジメントの佐野慶一調査部長)。3月5日のOPECで減産が決まらないなど需給緩和要因があると、価格は急反落もありうる。年後半は米国景気の回復などにより「85~110ドルのレンジへ切り上がるだろう」(同)。

中長期的には価格上昇圧力が強そうだ。新興国の需要は着実に増える。資源ナショナリズムの強まりで、資源国は資源温存に走り、増産投資に消極的。年金資金というほぼ”買い”一辺倒の投資マネーも原油先物市場に流入し、価格を下支えする。米国の金利引き下げ継続が、過剰流動性を生み、原油市場に流れ込む。
 

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