進む資源スタグフレーション 需要減の中、高値を更新する原油・穀物…


 米国農務省による今年度の世界総需要量予想は6億1645万トンとほぼ前年度並み。在庫を需要量で割った在庫率は25%前後が通常レベルだが、今年度末は18%にまで低下。需給逼迫から小麦価格が高騰した。
 
 今後については、生産量が少なかっただけに「在庫は一段と減少し、小麦価格の一段高がありうる」(ユニパックグレインの茅野信行社長)。だが7月には米欧の春小麦が収穫される。その作柄がわかるのは5月。今年は豊作が予想されており、小麦価格は5月をピークに反落か。
 
 大豆価格上昇の背景にはトウモロコシの作付面積増がある。トウモロコシはガソリン代替燃料バイオエタノールへの需要で一昨年後半から価格が上昇。今年度のトウモロコシの作付けを増やす農家が増え、その分、大豆の作付けが減った。

大豆は5月まで強含み トウモロコシ6ドル乗せも

トウモロコシと大豆はほぼ同じ地域の農地で生産が可能で、どちらかの作付けが増えればどちらかの作付けが減るという関係にある。農家は毎年の価格動向をにらみながらどちらを作付けするか決める。
 
 生産量の減った大豆の需要増は続き、在庫率は前年度の27%から19%へ急落。需給逼迫から大豆価格が高騰しているのだ。
 
 今後もタイトな需給は続くので、大豆価格はしばらく強含みの推移が予想される。ただ5月には種まきを迎え、来年度の作付面積がわかる。価格高騰を受けて今度は作付けが増えるのだろうが、その増え方が少なければ大豆価格が再上昇する可能性がある。
 
 トウモロコシは作付け増で生産量が増えたがエタノールなどへの需要増も大きく、在庫率は低下している。このため価格は再騰し1996年来の高水準にある。
 
 今後、大豆高騰の影響でトウモロコシの作付面積は減るので、トウモロコシ価格は高水準を維持する見通し。7月の受粉期に雨が降らないような事態になると、96年につけた最高値1ブッシェル=5・48ドルを突き抜け6ドル台に乗せることも考えられる。
 
 エタノール需要や新興国需要で穀物の総需要量は確実に増えている。だが、農地は限られ、争奪戦状態だ。生産性の向上がなければ穀物価格は長期上昇トレンドに入る。
(週刊東洋経済編集部)

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