日経平均株価はもう一度下落するかもしれない 長期の上昇トレンドは不変だが目先は波乱も
というのは、振り返れば、連銀は8月27日にジェローム・パウエル議長のジャクソンホール会合における講演と同時のタイミングで「インフレ率が2%を上回ってもしばらく緩和姿勢を続ける」「最大雇用を超える状況になってもしばらく緩和姿勢を続ける」といった方針変更を打ち出した。
だが、現状までの金融緩和で、そうしたインフレ率の水準や最大雇用はまったく達成されていない。ということは「追加緩和が必要だ」ということを意味する。
しかし連銀は、9月15~16日のFOMCでは、具体的な追加緩和策を策定しなかった。連銀には「同国の大統領選挙を経て、どちらの政権がどういう財政政策を打ち出すか見極めないと、具体的な金融政策を詰めにくい」という考えがあったようだ。
その後、10月は定例のFOMCはなく、11月4~5日のFOMCは、あまりにも選挙の直後すぎたと言える。このため、12月15~16日のFOMCで、追加緩和の具体策(国債買い入れの増額など)が打ち出されると予想するわけだ。
「ブレイナードリスク」はかなり後退か
追加緩和策が打ち出されることは、アメリカの株価を支える方向で働くと見込まれるため、日本株にとっても好材料だ。しかし一方で、追加緩和は通貨安材料となりかねないため、ドル安・円高が進行し、それが日本株を押し下げる恐れも生じる。
ドル安懸念を検討するうえでは、次期ジョー・バイデン政権下で誰が財務長官になるかも重要だ。すでにジャネット・イエレン前連銀議長やラエル・ブレイナード連銀理事も、財務長官候補として有力視されており、同国のメディアではイエレン氏が有力と伝えている。
ブレイナード理事は、連銀内でハト派(金融緩和推進派)であることで知られているが、同時にドル安志向だとも言われる。もし財務長官に就くと発表されれば、深刻なドル安が続くことはなくても、「ネタ」として投機筋がドル売り円買いを仕掛けてくる恐れは十分あった。
しかしメディアの下馬評通り、イエレン氏が次期財務長官に指名される、という展開となれば、外国為替市場は安心感をもって歓迎し、ドル円相場には無風だろう。「ブレイナード財務長官」リスクがかなり後退したとすれば、その点については日本株にとっても安定材料だ。
一方、バイデン次期大統領は、19日の記者会見ですでに次期財務長官を自身としては決定しており「感謝祭(今年は11月26日)前後に公表する」と語っている。いずれにしても、次期財務長官候補の発表は、ドル円相場の動きを通じて日本株に影響を与えかねないため、注意が必要だ。
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