「お酒のカロリーでは太らない」医学的な根拠 ビールより「糖質ゼロ」のほうが油断ならない
日本酒と肥満に関する研究はとくに見当たらなかったが、日本酒はビールやワインに比べアルコール度数が高く、糖質も多い。しかも飲食店で提供されることの多い1合(180ml)には、アルコール約22g(150kcal超)、糖質7~9gを含み、合計では200kcal近くなる。日本酒1合はおにぎり1個と心して味わう必要がある。
「糖質ゼロ」飲料の落とし穴、甘味料で太る?
焼酎やウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒は、糖質は0gで、カロリーはアルコール由来のみだ。これら度数が高めの蒸留酒では、“割もの”の選び方が肝要で、水割り、お茶割り、ハイボールなどが、「太りにくい」飲み方と言えるだろう。フルーツジュースで割るのでは、せっかくの糖質ゼロがもったいない。
では、近年よく見かける「糖質ゼロ」の酒類はどうなのだろうか? 糖類は、単糖類(ブドウ糖、果糖など)と二糖類(砂糖、乳糖など)の総称だ。つまり「糖類ゼロ」でも、単糖が2~10個くっついたオリゴ糖類や、糖アルコール(キシリトール、エリスリトールなど)といった、糖質は含まれる可能性がある。
他方、「糖質ゼロ」では、上記はいっさい含まれない。糖質は体内でエネルギー源となる栄養素であり、糖質ゼロの酒類では、カロリーはアルコール由来分のみだ。
「糖類」と「糖質」の違いにだまされないことが大切だ。
だが、落とし穴が2つある。1つは、糖質を含まない分、食が進みがちになることだ。蒸留酒もそうだが、飲んでも血糖値が上がらないので、空腹感が解消されない。そのうえ、アルコールには食欲増進効果もある(後述)。
もう1つは甘味料のワナだ。
「糖質ゼロ」をうたった酒製品の多くには、甘みとして甘味料が使われている。天然甘味料のステビアや、人工甘味料のスクラロース、アセスルファムK、アスパルテームなどがその例だ。
甘味料が厄介なのは、カロリーゼロなのに甘みを感じ、インスリン分泌を促進するホルモンの値を高める可能性があることだ。スクラロースやアセスルファムKなどは、試験管レベルで実証されており、ヒトでもそれを示唆する結果が出ている。
つまり、甘みを感じた時点で脳は糖質を期待し、その吸収を高める態勢に入る。インスリン放出に向けたスイッチが入るが、実際には甘味料では血糖値は高まらない。そのため脳や体が混乱し、糖代謝に異常を来す。インスリンの作用が低下し(インスリン抵抗性)、高血糖状態が続いて、メタボや肥満、ひいては2型糖尿病へと悪循環が生じる。
また、カロリーゼロの甘味料は、腸内細菌叢に影響を与えて炎症を引き起こし、それがインスリン抵抗性につながることもわかってきた。
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