高齢者は経済の宝、社会保障で地方創生は可能 「潅漑施設としての社会保障」という考え方
このような、市場による一次分配を、社会保障が再び分配し直すことが社会保障による所得の「再分配」である。つまりは、社会保障という再分配制度の基本的な役割は、市場の分配原則である「貢献原則」に基づいた所得分配のあり方を、家計の必要に応じた「必要原則」の方向に修正することだということになる。
格差と再分配
このような社会保障制度による再分配により、日本全体の格差の縮小も図られている。
図3にあるジニ係数とは「不平等指数」の1つであり、所得格差の程度を示した指数である。全世帯の所得が完全に平等なら「0」、1つの世帯が全体の所得を独占してほかの世帯の所得がないと「1」になる計算で、格差が大きいほど1に近づく。
直近の2017年を見ると、当初所得で0.56であったジニ係数が、再分配後は0.37へと縮小し、ジニ係数の改善度は33.9%であり。その内訳をみると、この国では格差縮小のほとんどを社会保障が行っており、税による格差縮小効果は弱いことがわかる。
格差を問題視する人が、どのような政策を重視すべきかは、自然とわかろうものである。
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