バイデン勝利にセレブが涙を流して共感した訳 分断から調和へ「感動の嵐」はさらに続くか

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そのような経緯もあり、広島市長はバイデン氏の勝利を受け、被爆地広島、長崎の訪問を要請することを明らかにしている。

今回、バイデン氏勝利の源になった郵便得票を大きく伸ばした背景には、副大統領になるカマラ・ハリス氏の力も大きかった。

「次期政権で誇らしいことは、副大統領のハリスさんだと思います。女性で黒人で、インドとジャマイカにルーツがある。彼女のような女性が副大統領、いずれ大統領になるかもしれないっていうことがアメリカの先進性なんです。こういったストーリーがあってアメリカは成り立ってきた歴史がある。トランプのままだとカッコよくない、ダサイ国なってしまう。それがいちばん嫌なんです」(アメリカ国籍の民主党支持の50代男性)

また、ハリス氏の夫である弁護士のダグラス・エムホフ氏も評判が高い。2019年8月、サンフランシスコで行われた民主党の候補者選出関連イベントで、突然、壇上のハリス氏に向かって抗議者が近づいてきてマイクを奪ったのだ。それを見てエムホフ氏は客席から舞台に飛び上がり、その男の前に立ちはだかってハリス氏を守った姿が話題になった(「Kamala Harris's husband jumps on stage to stop a protester」)。今後は所属していた法律事務所を退職し、バイデン次期政権を支えるという。

「ハリス氏の勝利宣言時に話したスピーチも感動的でした。" I may be the first, but I won't be the last." (私は初の女性、かつ黒人の副大統領かもしれませんが、最後ではありません)というフレーズは、彼女の母親がよく話していたモットー、"You maybe the first, but make sure you're not the last." (パイオニアとなり、そして後に続く者を助けなさい)という言葉から引用されたものです」(現地ジャーナリスト)

分断から調和へ、新たな戦い

現在のところ、トランプ派の過激グループが暴徒化するような動きはないが、敗北宣言をしないままホワイトハウスを強制的に追い出されることになると、両陣営の間に緊張感が高まるのは間違いない。

トランプ陣営の抵抗があまりに強く、政権移行に差し支えが出て就任が長引くようであれば、バイデン新大統領は分断を終わらせるためにトランプ氏と何らかの紳士協定を結ぶのではないかとも言われている。またトランプ氏は、自分自身のための右派メディア媒体を作り、2024年の大統領選に再出馬するのではないかという噂もある。

「バイデン氏は謙虚さをもって弱者に寄り添い、耳を傾ける姿勢で大統領選を勝ち取りました。そして分断から調和へアメリカを取り戻すと宣言したのです。これまでも銃規制に立ち向かい、初の黒人大統領のオバマ氏を支えてきた経験もあります。しかし、外交においては共感力だけでは太刀打ちできない脅威とも向き合わなければなりません。年齢のことも言われていますが、やはりハリス副大統領をはじめ、バイデン氏を支える側近スタッフが今後のカギを握っていると思います」(現地ジャーナリスト)

国民に訴えかける「共感力」で勝利を得たバイデン氏。新たな戦いは始まったばかりである。

草薙 厚子 ジャーナリスト・ノンフィクション作家

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くさなぎ あつこ / Atsuko Kusanagi

元法務省東京少年鑑別所法務教官。日本発達障害支援システム学会員。地方局アナウンサーを経て、通信社ブルームバーグL.P.に入社。テレビ部門でアンカー、ファイナンシャル・ニュース・デスクを務める。その後、フリーランスとして独立。現在は、社会問題、事件、ライフスタイル、介護問題、医療等の幅広いジャンルの記事を執筆。そのほか、講演活動やテレビ番組のコメンテーターとしても幅広く活躍中。著書に『少年A 矯正2500日全記録』『子どもが壊れる家』(ともに文藝春秋)、『本当は怖い不妊治療』(SB新書)などがある。

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