年金は定年後の65歳以降も働くとどうなるのか 2022年からの年金制度変更を知っていますか

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例えば、1961年5月生まれの男性で、2021年5月に60歳になる場合で、標準報酬月額(給与)が26万円、毎月の厚生年金保険料が2万3790円(26万円×被保険者分の保険料率9.15%)で65歳から70歳まで勤務したとします(賞与はなし)。

65歳時点での年金は65歳の前月までの加入記録をもとに計算されています。65歳到達月以降の厚生年金加入期間について、改正前であれば、70歳になって初めて保険料5年(60月)分の年金が増えます。老齢厚生年金の報酬比例部分を「26万円×0.899(※)×5.769/1000×60月」で計算(従前額保障の計算式で計算)すると8万0907円となり、70歳で8万0907円増える計算となります。

※報酬については再評価率による再評価を行います。2021年度以降の加入期間の再評価率については決まっていないため、便宜上、2020年度の加入期間の再評価率を用います。

毎年、少しずつ年金が増える

しかし、2022年の改正後は退職を待たずに在職定時改定によっても再計算されるため、65歳から70歳までの間に何度も再計算され、その都度年金が増えることになります。①2026年9月、②2027年9月、③2028年9月、④2029年9月、⑤2030年9月、⑥2031年5月(70歳になった月)のそれぞれ翌月分より年金額が変わることになります。

その再計算ごとに増える額は、①は26万円×0.899×5.769/1000×4月(2026年5月~2026年8月)で5394円、②は26万円×0.899×5.769/1000×12月(2026年9月~2027年8月)で1万6181円、③は26万円×0.899×5.769/1000×12月(2027年9月~2028年8月)で1万6181円です。

また、④は26万円×0.899×5.769/1000×12月(2028年9月~2029年8月)で1万6181円、⑤は26万円×0.899×5.769/1000×12月(2029年9月~2030年8月)で1万6181円、⑥は26万円×0.899×5.769/1000×8月(2030年9月~2031年4月)で1万0788円となります。

これらを足すと、端数の関係から、先述の8万0907円と①~⑥の合計とはわずかに一致しませんが、改正後は毎年、少しずつ年金が増えることになります。

なお、60歳以降の厚生年金1月加入ごとに年額1630円(2020年度の場合)増える、先述の経過的加算額も同様のルールで再計算されます。ただし、経過的加算額が増えるのは厚生年金加入月が合計480月になるまでですので、65歳時点ですでに480月の人、つまり40年勤めている人はその後の厚生年金加入では増えません。65歳以降勤務予定の場合は、毎年の再計算・増額があることを想定しておきたいところです。

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