年金は定年後の65歳以降も働くとどうなるのか 2022年からの年金制度変更を知っていますか

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一方、20歳前・60歳以降の厚生年金加入期間があると、報酬比例部分が増えますが、老齢基礎年金が増えなくなり、その代わりに老齢厚生年金の経過的加算額として増えることになります。老齢基礎年金に相当する部分を老齢厚生年金として計算・支給されることになります。

60歳前の人で「ねんきん定期便」で、この経過的加算額(ねんきん定期便上は「経過的加算部分」と表記)が少なく書かれている人も、60歳以降勤務すると、この経過的加算額が増えます(ただし、厚生年金加入が合計480月に達するまでです)。

60歳になる前に、現在と60歳以降で増える年金の内訳が変わることを確認してみましょう。

2022年からは年金額が毎年「再計算」されることに

厚生年金保険料の負担と受給する年金の関係は、以上の表のようになりますが、65歳支給開始の人が65歳以降も在職していると、「年金保険料を払う被保険者」と「年金を受給する受給者」の2つの立場に立つことになります。

老齢基礎年金、老齢厚生年金を受けられるようになる65歳で引き続き在職していると、厚生年金保険料が発生しますが、年金を受けられるようになってから保険料を掛けた場合、その分も老齢厚生年金の受給額に反映されることになるのです。つまり、年金を受けられる年齢(この場合65歳)になって以降の保険料は、掛け捨てにはなりません。しかし、毎月毎月再計算されて掛けた分が、すぐに受け取る年金に反映される、というわけではありません。

年金が再計算されるには一定のタイミングがあります。支給開始年齢が65歳の場合、現行制度上は、①退職時、②70歳のときになります。①②それぞれのタイミングで、その前月までの厚生年金加入記録をもとに年金が再計算されることになります。65歳から70歳まで継続して勤務する場合では、70歳到達時になって5年(60月)分の被保険者期間・保険料分を含めて再計算が行われることになります。

しかし、2022年からは法改正により、65歳以降勤務している場合は、退職や70歳を待つことなく、在職中に毎年再計算が行われることになります。この在職期間中の毎年の再計算は「在職定時改定」と呼ばれる制度で、毎年9月1日が基準日となって、その前月(8月)までの厚生年金加入記録をもとに再計算されることになり、基準日の翌月分(10月分)から再計算後の額となります。

では、65歳から70歳まで在職し、厚生年金保険料をかけ続けた場合、改正前と改正後では具体的にはどのように変わるでしょうか。

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