実際には、コロナ禍がなければ、経済再生を実現させた成果も相まって、トランプ大統領は再選していただろう。ただ、仮にトランプ政権が2期目になったとして、すでに多くの政策を実現したこともあり、民主党が下院を握る制約があるなかで今後行える経済政策は多くない状況だった。
このため、トランプ政権の負の部分、行き過ぎた政策の修正が必要で、そのうえで建設的かつ現実的な政策運営がバイデン政権下で行われるならば、それはトランプ再選よりも望ましいかもしれない。
バイデン政権の政策運営は、民主党内部の中道派と左派の主導権争いとともに行われる見通しで、その分不確実性がある。
ただ、議会からの牽制を受けることになるので、バイデン次期大統領は「中道寄りの政策」をより遂行しやすくなるだろう。次期大統領が、民主党左派と共和党とのバランサーとして機能して、政治と経済の安定をもたらす。調整型の政治家とされるバイデン氏は政治的な分断の弊害が大きくなったアメリカを癒す役割を果たすことができるのかもしれない。
2021年もアメリカが世界経済を牽引
今回の大統領選を巡る混乱を受けて、選挙制度の欠陥が指摘されたり、「トランプ対反トランプ」に真っ二つに世論が分かれて、国民の対立が激しくなったことがメディアでは懸念されている。分断された世論のもと社会が不安定になり、健全な民主主義が機能不全に陥っている、などの悲壮的な見方も聞かれている。
しかし、実際には選挙という民主主義のシステムがあるからこそ、民意が反映されて政権交代が起こり、政治権力が委譲される。大統領選挙に加えて議会選挙によって世論を吸い上げるアメリカの政治システムが、相応に機能したのが真実のように見える。
事前に幅広く予想された「民主党の大勝」にはならなかったことが民意の反映なのだろう。民主主義が機能しているからこそ、共和党、民主党双方が選挙での勝利を目指し、そしてより健全な社会が実現する、というメカニズムが相応に機能しているように筆者には見える。
このため、バイデン政権の閣僚人事など不確実な部分はあるが、今後のアメリカの株式市場、経済に関して筆者は楽観している。バイデン政権によって適度な経済政策が行われ、アメリカが世界経済を牽引する状況が2021年も続きそうだ。経済の復調傾向は変わらず、新型コロナ動向やワクチン・治療薬開発などで上下しながら、アメリカ株式市場の上昇が続くのではないか。
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