2021年も米国株は上昇すると言える充分な理由 「トランプ再選」よりも望ましい状況になった?

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ねじれ議会となればこれらの政策実現は相当難しくなるが、この「トリプルブルーのリスク」が和らいだことが、大統領選挙後に株高となった最大の要因だろう。

先に述べたが、一部のエコノミストらはトリプルブルーが株高と主張していたが、彼らはウォール街に近いとみられる。筆者はこの見方に懐疑的だったが、もし彼らの予想(期待?)通りに民主党が大勝していたら、株式市場は下落に転じていたのではないか。

実際には、大統領選挙が大接戦になり、そして民主党が掲げる大規模増税による所得分配政策は、共和党が多数を占める見込みの上院によって阻止される可能性が高い。

世論の支持を得た議会がバイデン政権を制御して、極端な経済政策が回避され、先鋭化した政治家の思惑が経済動向を左右しない状況になったと言える。大統領の権力を抑制するため議会が重要な役割を果たすわけだが、このアメリカの政治システムがバイデン政権では健全な方向に作用する可能性が高い。

バイデン政権なら米中の摩擦も軽減?

しかも、トランプ再選には至らなかったが、上院では共和党が多数派を維持して、さらに民主党が多数だった下院においては共和党が議席を伸ばす見通しとなっている。

大接戦となった結果、共和党は大統領選挙では負けても、一方で議会選挙では「勝利しつつある」との評価もできる。トランプ政権が実現した、減税を主軸にした拡張的な財政政策の成果は大きかった。在任中の4年間で掲げていた公約の多くを実現するなど、アウトサイダーの政治家としては相応の成果を果たした、と言える。

一方で、トランプ大統領は、国内の批判勢力を「敵」に認定して差別的な発言を繰り返すなど独善的な政治姿勢を貫き、国内外に不要な混乱をもたらすなどの問題も大きかった。

実際に、トランプ政権は、次の覇権国を狙う中国以外の同盟国や周辺諸国に対しても、関税引き上げを対外政策のツールとして利用したため、各国のグローバル企業の事業活動を大きく抑制した。バイデン政権が対中強硬姿勢を弱める可能性は低いだろうが、通商政策を巡る不確実性は格段に低下するだろう。これは政権交代の無視できないポジティブな側面である。

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