まさに「歴史的な11月」だった。アメリカ大統領選挙を契機に同国株は上昇、11月24日にNYダウ工業株30種平均株価はついに3万ドルの大台に達した。大統領選挙が接戦となり、バイデン次期政権による公約が実現する可能性が大きく低下。結果として、政治を取り巻く不確実性も低下したことが株高の一因だろう。
アメリカでもコロナ感染が拡大し、一部地域では経済活動制限が行われている。だが広範囲に経済活動が制限された欧州諸国とは異なり、アメリカではごく一部の動きにとどまっている。同国全体では経済復調と感染抑制の両立が保たれ、12月に入ってからも同国の経済全体でみれば緩やかな回復が続いている。
「ワクチン開発の日米格差」はどこから来るのか
一方コロナに関して、ワクチンを開発している米英の製薬会社などから感染抑制効果を示す治験結果が相次いで発表された。素直に解釈すれば、ウイルス・医療分野の技術革新によって、人類とコロナが共存できる世界が見えてきた、と評価できる。
将来のワクチン普及が経済正常化を後押しするシナリオを織り込みつつあるなかで、アメリカ株は史上最高値を更新したと言える。11月13日のコラム「2021年も米国株が上昇すると言える充分な理由」で考えたシナリオが早々に実現しつつあると考えている。
ワクチンや治療薬の開発が、とくに同国の製薬会社で進んでいるのは、企業の技術開発力が高いことが大きいが、トランプ政権が実現したワクチン研究・開発への財政支出がバックアップしたことも早期開発を後押ししたとみられる。日本でアメリカほど大規模な動きがみられないのは企業の技術力の問題だけではなく、政府による企業への資金支援が微小だったことも大きかっただろう。
日本のコロナ対応は、相対的にはかなり抑制された患者数拡大が続いているにもかかわらず、脆弱さを露呈する医療、検査インフラ整備の問題に直面してきた。これは長年続いてきた緊縮財政政策の弊害であり、そして硬直的な縦割り医療行政の欠陥があらわになったとも言える。
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