リクルートのCMに踊る人、踊らない人
常見さんがフェイスブックでこのCMを取り上げている知人を観察したところ、このポエムに反応する人としない人は、クラスター(集団)で分かれるという。
「熱くなっているのはリクルート社員とOBの半分と、リクルートにあこがれながらも入社できなかった人材ベンチャーやネットベンチャーの人。それ以外の大手企業の人や大学教職員、著者やライターは、『何、この何も言ってない感じ』『何、このリクルートの手のひらで踊らされる感』と冷静な反応だった」
つまり、リクルートのDNAを持つ人、すなわちベンチャースピリットにあふれた人が熱くなるらしい。
「まあ、私も朝礼で拳を振り上げて、『今日も売るぞー、オーッ!』『売って、売って、売りまくれ! オーッ!』と掛け声をかけるような世界にいましたから、気持ちはわかります。でも、『ゴールはひとつじゃない』とか言いながら、リクルートのヤツらは営業目標抱えて同じゴールを目指しているんですけどね(笑)」
あいまいさゆえに、さまざまな解釈を生む
それにしても、何も語っていないポエムに、なぜ人は踊ってしまうのだろうか。
常見さんは「ゆるふわな言葉であるがゆえに、さまざまな解釈を生んで、みんなが頑張れるし、みんなを巻き込める。『あいまい性の合理性』というものがある」と説明する。
ポエムで社員を鼓舞する企業は少なくない。企業がポエムを利用する背景には、労働環境の悪化もあるという。「あいまい性の合理性」によって全社員の気分を高揚させ、社員も一瞬でいいから元気になろうとする。いわば、ポエムはドリンク剤だ。
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