財政再建と成長率向上にむけて政府は明確な第一歩を

財政再建と成長率向上にむけて政府は明確な第一歩を

有力格付け会社、スタンダード&プアーズ(S&P)は1月26日、次のようなコメントを発表した。

「外貨建て、自国通貨建てともに『ダブルA』に据え置いたが、アウトルックは『安定的』から『ネガティブ』に変更」

日本国債の格付けについて、将来見通しを悲観的に見るという論評である。格付けは信用力の評価軸だ。ネガティブな見通しの根拠が是正されなければ、次には格下げとなる可能性が高い。

過去に日本国債の格下げが大きな話題になったのは2001年から02年にかけてのこと。金融危機のさなかに、当時の政府は大型景気対策を連発。その財源の多くを国債発行に依存。わが国の財政事情は一挙に悪化した。そこで、有力格付け会社が相次いで日本国債の格下げに動いた。

たとえば、ムーディーズは02年5月31日、自国通貨建て債務(JGB)の格付けをそれまでの「Aa2」から「A2」へと2段階引き下げた。アフリカのボツワナ共和国よりも格付けが低いという評論がかまびすしく行われ、大騒ぎになった。ボツワナに対して大変に失礼な話だった。

その数年後、日本国債の格付けトレンドは変わった。S&Pは06年5月、アウトルックをポジティブに転換し、07年4月に「ダブルA」に格上げ。ムーディーズも06年6月にアウトルックをポジティブに変更した後、07年10月から段階的に格上げした。現在の格付けは「Aa2」である。2社ともに02年の格下げ以前の水準に戻したことになる。

2つの金利上昇バイアス

ところが、今年初、S&Pが冒頭で紹介したような厳しい評価を下した。これは日本国債の格付けトレンドが再び変わり始めたことを示唆している。「上げ」の方向から「下げ」の方向への潮目の変化である。格付けは市場機能の一端を担っており、今回の変化は、わが国の国債の信用力低下懸念に対して、注意信号が発せられたことを意味する。日本の財政事情に対する見方が再び厳しくなったことにほかならない。

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