第7回(最終回) 「研究」を知らない文系ビジネスパーソン

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ビジネス書だけが情報源でいいのか

今度はほぼ全員が、それらの雑誌は会社にあるし、自らも読んでいるとお答えになります。そこでこれらビジネス誌を読むとお答えになった方に、ビジネスの勉強をするためにどのような本を読んでいるかを尋ねますと、ビジネス街の本屋さんの入り口付近に平積みになっているような、いわゆるビジネス書の名前が挙がります。専門学術書の名前が挙がることはほとんどありません。

 これらのことから、日本では大手企業でさえ、経営戦略を練ったり将来計画を作成したりする部署の人たちが最新の経営理論をチェックしていないことがわかります。そして,それに加えて、そもそも会社にはそのための資料がなく、それらの人たちが学術書を読んで基本的な学術理論を身につける機会があまりないことも推察されます。

 筆者の印象では、ビジネス書と呼ばれる本の中には、単に著者の経験談を述べただけのもの、根拠のない御託宣を述べたものなど、極端な内容で副作用の方が大きいのではないかと危惧されるものが少なからず見受けられます。

 大学受験や高校受験の数学や物理の参考書や問題集の中には、本来の考え方や理論はそっちのけで、ひたすら公式を問題のパターンに当てはめる練習をさせるものがあります。そこで得られるのはすぐに役立つように見えるけれど、未知の課題解決にはほとんど役立たない知識です。覚えることと考えることは違うのです。

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