今はもがいているが、われわれは必ず復活する 鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長に聞く

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――プライベートブランド(PB)の「セブンプレミアム」はまだ伸ばしていきますか。

うちの強みは、開発した商品でデッドストックになったものが一つもないこと。PBでもメーカー、原産地を明確にし、味を徹底的に追求している。品質がいいからよく売れる、売れるから量もはける、そして価格が下がるという仕組み。売れるものは飽きられるのも早いから、どんどん商品改廃もしている。今後グループの世界的なネットワークを活用したPBも積極的に投入する。

――持ち株会社の機能をより強化する必要はありませんか。

まず各事業会社が自主的に経営できないとダメだ。そしてそれぞれの業態のよいところをグループで共有していく。経営というのは、教科書に出てくることをやる必要はない。事業会社間の人事交流も行っていない。私は社員の自主性を醸成させるマネジメントがいいと思う。

ヨーカ堂は絶対にお荷物ではない

――コンビニにもっと投資して、収益性の低い百貨店や総合スーパーの投資を絞る必要はありませんか。

いやそんな必要はない。セブン−イレブンだって年間1000店も出店し、海外にだって店を出しているんだから。これ以上投資するとかえって散漫になる。事業会社がキャッシュフローの範囲内で投資をするという方針に変わりはない。

――持ち株会社設立のとき、業績の低迷が続けばヨーカ堂売却もありうると発言されていました。

どうやってもダメなら、それは当たり前でしょう。ホールディングとしてお荷物になるなら、それはヨーカ堂だろうが、セブン−イレブンだろうが排除しなければならない。

今はどこももがいてますよ。その中で重要なのは、地道なことをいかにきちんとやっていけるかどうか。永遠に成長し続けることは、どんな産業だって無理でしょう。だから、何かあったときでも耐えられる体質を作っているかが重要になる。

社員にも「うちは幸いにも手形で仕入れなければならないとか、借り入れを増やさなければならないということはない。君たちも自信を持ちなさい」と常々言っている。ヨーカ堂は絶対にお荷物ではない。回復の手応えは十分に感じている。

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2010年3月13日号)

週刊東洋経済編集部
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