今はもがいているが、われわれは必ず復活する 鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長に聞く

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――そごう・西武の買収には2300億円を投じましたが、同社の業績は低迷しています。買収を後悔していませんか。

なぜ? そういう質問を受けると奇異に感じる。だって百貨店がなくなることはない、スーパーがなくなることもない。もちろん変化はありますよ。重要なのは変化に耐えられるかでしょう。

短期的には苦戦しているが、これから伸ばせばいい。体質改善は確実に進んでいる。ある意味われわれはよい買い物をした。そごうは法的整理、西武は私的整理を経ているわけだから。僕がセブン−イレブンや銀行(セブン銀行)を始めるときだって、周りは大反対した。あんまり心配してもらわなくて大丈夫ですよ。

 不振の原因は衣料品

――イトーヨーカ堂は09年度上期、初めて営業赤字に転落しました。

すずき・としふみ 1932年生まれ。56年中央大学経済学部卒。東京出版販売(トーハン)を経て、63年イトーヨーカ堂入社。73年セブン−イレブン・ジャパンを創業、同 社を小売業日本一に育てる。92~2003年イトーヨーカ堂社長。05年からセブン&アイ・ホールディングス会長兼CEO

今のマイナスは衣料品が引き起こしている。スーパー全体で見ても、衣料品の売り上げはピークと比べて半減した。特にヨーカ堂はこれまで衣料品で利益を出してきた企業だから。やはり一番の問題は問屋依存であること。ユニクロさんのようにSPA(製造型小売業)に転換しようと思っても、なかなかできない。衣料はそんな簡単にいくものじゃない。

――今後どう変えていきますか。

これまではアイテムごとにバイヤーがいて、それぞれが仕入れていた。だからスーパーに行くと、やたらとアイテムは多いが買いたいものがない状況だった。今後はたとえばワイシャツとネクタイのバイヤーが一つのチームになってコーディネートしていく。こうした組織的な見直しから始めており、衣料品、そしてヨーカ堂は今が底だと思っている。

――店舗展開を大きく変えていくことはありますか。

今後3年で25店閉鎖すると発表しているが、閉店には最低でも1年はかかる。自社物件なら話は別だが、賃借物件は契約年数の問題などがあり、そう簡単にはいかない。

――08年からディスカウントストア「ザ・プライス」も始めました。しかし価値訴求を掲げるグループ戦略とはミスマッチではありませんか。

ディスカウントだって価値訴求でしょう。たとえば普段着を1年ごとに買い替えたいというのなら、その価値に合った商品を提供する必要がある。プライスは今後も続けるし、順調に伸びていくと思う。

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