たった2割の「できる人」だけが知る発想のコツ 「広告界の異端児」が考えるアイデアの出し方
──チームのブレストでよいアイデアを生むコツはあるのでしょうか?
三浦:実は複数名でブレストしても、本当にものごとをひっくり返すようなアイデアはなかなか出ません。ブレストは他人の目がけっこう気になりますし、生活者としての自分の欲望に立ち返って、本当にそれを欲しているのか面白いと思っているのか深く内省しないと、よいアイデアは生まれないからです。
集合知よりも圧倒的に大切なのは、個の覚悟です。それを背負い切る覚悟や、絶対に成し遂げたい欲望がない人間の思いつきなんて100個あったって200個あったって意味がない。「俺は絶対にこれをやり遂げる」という1人がいて、「この案がいいかどうかはわからないけど、私はこの人を信じる」というチーム・組織があってはじめて現実は動いていく。
僕がコアアイデアを生む思考法のみならず、企画を形にするチームビルディングを重視しているのは、クリエイティブは「実装」してこそ社会のなかで意味をもつからです。
ヒエラルキーからコミュニティへ
──最後に、ポストコロナ時代において、個人のキャリアプランはどう変わっていくと思いますか。
三浦:今後キャリアは、“ヒエラルキーからコミュニティへ”と大きくシフトしていくというのが僕の見立てです。組織を縦に出世する意味がどんどん薄くなってゆき、横にコミュニティを広げていくことに、つまり複数の組織で信頼されることが大きな価値を持つようになります。
複数のコミュニティで評価される人ほど生存戦略において強い。そんなクロスボーダーな時代にはとくに、ABCのどれかではなく「そもそもDはないんだっけ?」と起点となる問いから立てられるクリエイティブな力が役立ちます。ある業界の1つのルールにこだわらず、前提を疑って新しいルールをつくったり、別のジャンルに応用したりするクリエイティビティこそ、これからのキャリアを一層豊かにしてくれるでしょう。
クリエイティブな思考はキャリア観そのものも広げてくれます。福岡で局長か東京で部長かではなく、実家の農業にこれまでやってきた仕事のノウハウを持ち込むとか、地方で後進を育てるとか、幸福と仕事の形というものに対してもっと柔軟な視点で、裸で向き合えるようにもなると思います。
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