伊藤忠が経営理念を「三方よし」に変えた意味 ステークホルダーへの責任をどう考えるべきか

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企業は社会とともにあるという原理原則を見落として、長寿企業となるのは不可能だ。企業が社会の公器であるためには、その理念が問われる。つまり、理念が長寿企業をつくる重要要素である。では、なぜ長寿企業であることが大事なのか。改めて掘り下げてみたい。

人の寿命は有限でも、企業は永続的に繁栄することができる。長期の成長は短期の業績の積み重ねの結果だから、短期の業績、すなわち足元の利益は大事である。

自力で立つことができないのでは、走るのはおろか、歩くことさえままならない。

短期の業績を上げるために必要となるのは次の公式である。

〈短期の業績を上げる条件=戦術+人材〉

戦術とは「どうやるか」で、やりかたがよければよい結果が出るし、やり方が悪ければ望ましい結果は出ない。ハウツーがあるかが、短期の業績を上げるには重要なポイントとなる。

人材とは、戦術を実行できるだけのスキル(仕事力)のある人のことだ。現有の人(のスキル)と戦術が適切であれば、短期の業績はとりあえず担保されるはずである。

戦術(やり方)が適切で人にスキルが備わっていれば、短期の結果は出るものの、長期的に成長を続けるにはそれだけでは足りない。長期的に成長を続けるために必要なことは次の公式で示すことができる。

〈長期的な成長に必要な条件=方向性+人財+組織力〉

方向性とは〈方向性=理念+目標+戦略〉であるから、長期の成長持続にはしっかりとした理念、目標、戦略が求められる。理念は「何のためにやるのか」であり、目標は「いつまでにどれだけやるのか」で、戦略はそのために「何をやるのか」である。

この3点セットがそろって「どこに向かうか」という方向性が定まる。

人財と人材は異なる。人材には現有のスキルだけが問われるが、人財には時間とともにスキルレベルが上がること、すなわち持続的成長が求められる。現有のスキルは問題ではなく、将来のスキルの伸びしろが重要となる。

スキルの伸びしろは、本人のマインド(意識)によって大幅に変わってくる。よって真の人財に問われるのはスキルとマインドの2点セットとなる。

永続的繁栄を支えるのは人と企業の成長

組織力とは、方向性を定め人財を最大活用するためのチームワークづくり、組織づくり、制度設計などのことをいう。

持続的成長のための方向性、人財、組織力のウェートは、方向性が60%で人財(スキル+マインド)が20%、そして組織力の割合が20%である。つまり企業の持続的成長のためには、方向性を定める第1条件である理念の割合が最も大きく、企業が繁栄を続けるか、短命に終わるかのカギを握る原点は理念であるといえる。

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