伊藤忠が経営理念を「三方よし」に変えた意味 ステークホルダーへの責任をどう考えるべきか

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2つの公式を見比べてわかるのは、短期と違って長期には持続的成長という要素が不可欠だということである。

時間とともに人と企業が成長するから、企業は永続的に繁栄できる。

成長するためには昨日と同じことをしていてはダメだ。成長とは変わることだ。過去の踏襲だけでは、人も企業も成長がストップしてしまう。つねに自ら積極的に変化を起こす。これが成長するために必要な基本条件である。

脱株主主義を宣言したアメリカ経済団体

社会の公器であることを宣言するとは、いわばステークホルダー主義の宣言でもある。こうしたステークホルダー重視への回帰はアメリカでも起きている。

2019年8月19日、アメリカの経済団体である「ビジネス・ラウンドテーブル」(会長・JPモルガンCEOジェイミー・ダイモン)が「企業の目的に関する声明」を発表した。

ビジネス・ラウンドテーブルにはアマゾン、アップル、ウォルマートという現代のアメリカ企業を代表するCEOたちが一堂に会している。

ビジネス・ラウンドテーブルは1972年に設立され、これまでに何度か企業統治に関する原則を定期的に見直し発表している。

われわれはこれまでアメリカの企業といえば、ビジネス・ラウンドテーブルが1997年に発表した「企業は主に株主のために存在する」を基本理念にしていると考えてきた。

同時に、日本でも平成の半ば以降からこの考え方が主流となり、現場で働く社員や非正規の労働者への視線が急速に冷たくなっていった。

ところが、その株主主義の本家であるアメリカ企業から、脱株主主義の声明が発表されたのだ。

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