フランス、ドイツにおけるインターネット選挙運動の歴史--解禁へ向け動き出したインターネット選挙運動[5]
1995年から始まったインターネットの活用は、政党によるホームページによる宣伝が中心だった。政策、遊説日程の公開といったありふれたコンテンツが主であるが、05年総選挙の際には、投票日までのカウントダウンやSPDブログが注目を集めた。
しかし、シュレーダーもメルケルもブログを開設しないなど、インターネットの双方向性を活用する試みはなされなかった。
09年の総選挙はWeb2.0のツールがふんだんに駆使された最先端のものになった。米国オバマの躍進にならい、多くの候補者はブログ、ツイッター、ビデオメッセージを盛んに使用した。しかし、下記グラフを見ていただきたい。
インターネット選挙に関連して、具体的にどのような行動をとったかについて、全欧州とドイツのそれぞれ、人口比を表したものだ。Inactives(行動しない)人の割合の多さがドイツ国民で際立ち、50%を超える。インターネットを通じた、候補者と有権者の双方向対話が行われたとは言いがたい結果だ。
インターネットというツールにばかり注目して、使えるものは何でも使うことが重要なのではない。対話こそがWeb2.0の生命線である。受け手の好意的なリアクションがなければ、いくらツールのみWeb2.0であっても、旧来の単なる一方的なインフォメーション・ツールと何ら変わることはない。重要なことは、候補者側の想いを伝えることだけでなく、世論が何を望んでいるのかをまず調査することだろう。