オランダに485系、日欧「似たもの列車」大集合 「踊り子」の塗装や「白いかもめ」のデザインも

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岡山の路面電車には「チャギントン電車」というイギリスのアニメ「チャギントン」のキャラクターをモチーフとしたユニークな電車が走っている。2車体連接の低床式電車で、片方はウイルソンというアメリカ型ディーゼル機関車風の顔、もう片方はイギリスのデルティックという愛称のディーゼル機関車風の顔である。

デンマークのディーゼル機関車(筆者撮影)
岡山電気軌道の「おかでんチャギントン」(編集部撮影)

ウイルソンは、1940年代から1960年代にかけてアメリカ全土で走っていて一世を風靡したディーゼル機関車の顔だ。もっとも、顔の「たれ目」の感じはアメリカ本国の機関車よりも、そのスタイルを踏襲したデンマークの機関車に似ているのではないかと個人的には思う。

似たもの鉄道車両は、まだまだある。南海電鉄の空港特急「ラピート」も、アメリカのニューヨークとシカゴを結んでいたニューヨーク・セントラル鉄道の「20世紀特急」の砲弾型蒸気機関車をイメージしたものだ。

また、北総鉄道を走っていた「ゲンコツ・スタイル」と呼ばれたほかに例のない形状の7000形電車は、フランスではよく見かける電気機関車の影響を受けたものだ。

デザインが似る理由

さて、冒頭の485系によく似たオランダ国鉄の電車に話を戻すと、インターシティはヨーロッパ各国で見られる列車種別で、ドイツ鉄道(DB)の場合は運賃以外に追加料金が必要な特急列車を指す。しかし、オランダは国土が狭く、九州より少し広いだけの面積なので、国際列車以外に優等列車はない。インターシティも追加料金不要の「快速列車」扱いだ。

機関車牽引の客車列車が最近まで主流だったヨーロッパにあって、オランダは例外的に古くから動力分散方式の電車が幅を利かせていた。そんなこともあって、わが国の485系に似た電車が製造されたのかもしれない。

国鉄形特急電車の「485系」(写真:Firefox /PIXTA)

Koploperという愛称があるこの電車、Kopはドイツ語のKopf(頭)と同義で「頭の中を歩く」という意味だ。つまり、頭(先頭部)の中を歩いて他の車両に移動可能、2編成連結したときに、運転台下の先頭部が開いて貫通可能な構造ということで、まさに485系の貫通形と同じだった。このICMの先行試作車の登場は1977年。485系の前面貫通型登場が1972年だから、オランダがわが国の485系の影響を受けたのではないだろうか?

奇抜なデザインの車両には何らかの理由があるもので、調べていくのも新たな発見があって楽しいものである。

野田 隆 日本旅行作家協会理事

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のだ たかし / Takashi Noda

1952年名古屋市生まれ。早稲田大学大学院修了(国際法)。都立高校に勤務のかたわら、ヨーロッパや日本の鉄道旅行を中心とした著作を発表、2010年に退職後は、フリーとして活動。日本旅行作家協会理事。おもな著書に『にっぽん鉄道100景』『テツはこんな旅をしている』『シニア鉄道旅のすすめ』(以上、平凡社新書)、『テツ道のすゝめ』(中日新聞社)、『ニッポンの「ざんねん」な鉄道』(光文社知恵の森文庫)、『テツに学ぶ楽しい鉄道旅入門』(ポプラ新書)などがある。

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