残業が年963時間!?官僚の過酷すぎる労働実態 サービス残業が横行し、学生も敬遠
国家公務員の残業代(超勤手当)について、安倍政権は2015年、次のような答弁を閣議決定している。
「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合において、正規の勤務時間以外の時間において勤務することを命ぜられたとき、この命令に従い勤務した時間に対して支給される」
そのため、「正規の勤務時間終了後、職員がこの命令を受けずに在庁している場合には、超過勤務手当は支給されない」。
つまり、在庁時間と労働時間が必ずしも連動しないということだ。勤務時間法(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律)にも、同趣旨の規定がある(13条2項)。
「必要な残業代は支払われているという答弁を聞いて、怒りに震えたことを覚えています。この答弁によれば、自分は命令を受けずに緊急性もない業務を勝手にやっていたバカなやつということになりますね」(前出の元厚労官僚)
ちなみに、この答弁を引き出した質問主意書の主は元厚労大臣の長妻昭氏(立民)。男性の「元上司」だ。政治家も問題があることは分かりながら、一度にはなかなか変えられないことがうかがえる。
同じ省内でも不公平が生まれる
変えられない理由の一つに予算の問題があると言われる。前出の男性は「予算は部署によっても違い、省内でも不公平が生まれている面もありました」と語る。
たとえば、同じ厚労省内でも、残業代がほぼ満額出るという部署も経験したという。
ほかの省庁に勤める現役官僚は語る。「法改正に携わったときは、ほとんど家に帰れず、土日祝日も出勤していたので月300時間くらいの時間外労働がありましたね」
退職も検討したが、「このときは月給が100万円を超えました。別の部署のときは上限があったので、配慮してもらったのだと思います。現金なもので給与明細を見たら、もう少し頑張ろうと思えてきました」。
現在の部署でも満額出ているという。ただ、「超勤の事前申告をしてから命令、という体にはなっていますが、完全に任意で残業していますね」とも話す。
「超勤命令があれば残業代」という政府答弁とは、いささか異なる実態がありそうだ。