報告書がイマイチな人はメモのコツを知らない 表現力ではなく「素材」をどう見つけるかだ

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長い文章を書く際の「素材」を集める方法のひとつに、現地でのヒアリングがある。私は企業の訪問レポートなどを雑誌やウェブの仕事で書くこともあるが、まさにやっているのが、これだ。取材やインタビューによって、「素材」を獲得し、それを基に文章を作っていくのである。

資料やパンフレットなどもあるが、誰でも手に入る資料やパンフレットを基に書いていたのでは、わざわざ出張した意味がない。そこで、現地で聞いた話を「素材」にするのである。

ここでも必ずやらないといけないのが、メモを取ることだ。これが、会社に戻ってからレポートを書くときの文章の「素材」になる。

「見たこと」もメモして「読み手」に追体験を

もうひとつ、大事な「素材」になるのが、「見たこと」だ。「聞いたこと」だけでなく、「見たこと」もしっかりメモしておくことで、出張レポートに大いに生きる。

出張のレポートで書き手が目指したいのは、「読み手」が出張を追体験できることだと私は考えている。書き手が「おお、すごい」と思ったことを、どれだけ「読み手」にも思わせられるか。まさに、形容詞を使わずに「素材」で示したいのだ。

このとき「見たこと」が活用できる。実際、出張先を訪れたら、たくさんのものを見る。職場の雰囲気を象徴するものは何か。どのくらいの人が働いているか。平均年齢はどのくらいか。会議室や応接室には何が置かれているか。案内してくれた人はどんな印象だったか。担当者はいくつくらいか。好印象が持てたか……。

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元気な会社には、象徴的なシーンがあるものだ。すぐに立ち上がって全員が挨拶をしてくれた。電話が次々に鳴り響いていた。オフィスのあちこちで社員同士が楽しく語り合っていた……。

出張に行けば、いろんなものを見る。しかし、それは知らない間に忘れ去られてしまう。だから、「見たこと」のメモを取るのである。できる限りたくさんメモをしておく。

「見たこと」をそのまま「素材」としてレポートに盛り込めば、臨場感をグッと高めることができる。「文章が書ける」と思われている人は、実はこういうことをやっているのである。表現力などではない。「素材」を見つけ、メモしてくる力のほうが、よほど重要なのだ。

上阪 徹 ブックライター

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うえさか とおる / Toru Uesaka

ブックライター。1966年、兵庫県生まれ。早稲田大学商学部卒業。ワールド、リクルート・グループなどを経て、1994年、フリーランスとして独立。経営、金融、ベンチャー、就職などをテーマに、雑誌や書籍、Webメディアなどで幅広くインタビューや執筆を手がける。これまでの取材人数は3000人を超える。他の著者の本を取材して書き上げるブックライター作品は100冊以上。2014年より「上阪徹のブックライター塾」を開講している。著書は、『1分で心が震えるプロの言葉100』(東洋経済新報社)、『子どもが面白がる学校を創る』(日経BP)、『成城石井 世界の果てまで、買い付けに。』(自由国民社)など多数。

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