パンダ列車の好評ぶりを受け、2019年12月には同じデザインの2本目の編成が登場した。2本体制となったことで2020年3月のダイヤ改正以降は毎日決まったダイヤ(くろしお3・25・6・26号)で運行することが可能になり、遠方からの旅行客にも計画的に乗車してもらいやすくなったという。
1編成目は当初、運行期間を2019年11月頃までと予定していたが、検査周期の見直しに伴って2020年夏頃まで延長、さらに2023年冬頃までに変更した。2編成目は2022年冬頃までの予定だ。
2020年7月には、3本目の編成がデビューした。近年関心が高まる、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の推進をテーマにデザインを変え、前面には「次の世代に贈り継ぐ象徴」(同社)として親子のパンダを描いた。頭のてっぺんに小さなパンダを乗せた格好になった。
和歌山営業部の上段貴司部長は「パンダくろしおをもっと知ってもらうことで白浜のアドベンチャーワールドをはじめ、和歌山エリアにたくさんの人に来てもらいたい」と3編成目導入の狙いを説明する。
同営業部によると、利用者からは「車内もパンダで乗車中も楽しめる」「パンダくろしおが来たら、テンションが上がる」といった声が聞かれ「ホームから写真を撮影されたり、お子さんが『パンダくろしおだ!』と笑顔になったりと、大変好評だ」という。3編成目を貸し切って10月31日に実施する団体旅行は発売開始の翌日に完売する人気ぶりだ。
福知山には明智光秀が登場
一方、福知山と大阪を結ぶ福知山線では、2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公、明智光秀にちなんだラッピングの特急車両が活躍中だ。こうのとりのほか、山陰本線の京都―城崎温泉間を走る「きのさき」や京都―天橋立間の「はしだて」で運用する。
福知山は丹波を平定した光秀が城を改築、城下町を整備して「福智山」と名付けたのがはじまりとされる。市内には水害から町を守るために築いたと伝わる「明智藪」や、光秀をまつる「御霊神社」などがある。福知山城は、近隣の寺院から集めたとみられる五輪塔や宝篋印塔を石材として用いた天守台の石垣が見所の1つだ。
ラッピング車両は289系(4両編成)の1本を使用。側面には光秀の母のお牧の方、娘の細川ガラシャといった親族だけでなく、敵として戦った武将、波多野秀治、赤井直正の姿を描いた。福知山城や明智藪、御霊神社のイラストも盛り込んだ。
車体色も鮮やかだ。JR西日本執行役員の漆原健福知山支社長は「『ドクターイエロー』と言われることがあるが、イメージしたのは『金屏風』。フルラッピングは福知山支社で初めてで、非常にインパクトがある仕上がりになった」と胸を張る。「大河ドラマをきっかけに地元が観光振興に努力をしているなか、鉄道事業者として地域に貢献できることはないかと考えた」と経緯を説明する。
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