民主党が目指す最高裁判事増員は簡単ではない

実は「第2次世界大戦前」にもあった重要な事実

先に言っておくと、このNYタイムズの記事の信憑性は高い。実際、トランプ大統領は自分で自慢するほどの大金持ちではない。2008年に完成したシカゴのトランプタワーの物件では、同年に起きたリーマンショックを悪用し、建設費の支払いを拒否。しかも強引に裁判を起こしたうえ、銀行に減額を求めた。

そして完成から12年たった今も、なんとその時の300億円以上が未払いのままだという。さらにそのタワーを分譲するに当たっては、ロシアのアンダーグラウンドマネーがマネーロンダリングのために購入しているのを承知で販売したとのレポートも、過去出された。

このことは、今話題の「TIPリポート」(超党派組織の「Transition Integrity Project」(超党派で誠実な政権移行を支援するプロジェクト、ジョージタウン大学教授のローザ・ブルックス氏などが参画)がまとめた報告書)と関係している。同報告書では「反トランプ陣営は、もしトランプ大統領が敗北した後、素直にホワイトハウスを去り、ワシントンDCとプエルトリコの州へ昇格を認め、最高裁判事に定年制を導入し、選挙人制度の廃止を認めれば、大統領を辞めた後、起訴することはしない」と脅している。

一方、それとは別に、黒人女性として初めてニューヨーク州の司法長官になったレティシア・ジェームズ氏は、かなり前から「トランプ大統領がホワイトハウスを去れば、必ず犯罪者として起訴する」と宣言している。それではTIPレポートと矛盾することになってしまうが、そもそもTIPレポートで提示された上記の条件は、どれもがトランプ大統領が決められることでない。

TIPの目的は「トランプ陣営」を焦らせることにある?

組織としてのTIPは、超党派を標榜しながら実際は「ネバートランプ」の共和党勢と「トランプ憎し」の怨念にかられた民主党関係者で構成されている。

中心メンバーは、共和党からは黒人でオバマ政権時代に共和党の幹事長だったマイケル・スティール氏やアメリカをイラク戦争に導いた代表的「ネオコン」のビル・クリストル氏、子ブッシュ・小泉政権時代は日本にも影響力を持ったとされるデビット・フラム氏などからなる。

一方の民主党からは、クリントン政権の首席補佐官で4年前はヒラリー・クリントン氏の選挙戦略の総合マネジャーを務めたジョン・ポデスタ氏、その時CNNでずっとヒラリー氏の「応援団長」を務めたドナ・ブラジル氏などで構成される。

これではTIPは「とても超党派でニュートラルな組織」とはいえないではないか。よって、上記のシミュレーションはそもそも妄想であり、その目的がトランプ大統領を焦らせ、選挙戦のテーマを本来の対中国戦略からそらし、トランプ陣営を泥沼の選挙戦へ引きずりこむのが目的と考えるのが妥当だろう。

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