日本と何が違う?欧州「強烈な第2波」のなぜ 足元では世界の新規感染の約3分の1を占める
フランスからロシア、イギリス、チェコに至るまで、ヨーロッパの指導者は新型コロナウイルスの感染拡大に直面している。病床は急速に埋まり、死者数が増加。すでにパンデミックがトラウマとなっている国々で再びロックダウンが広がるという厳しい見通しが現実味を増している。
一時はアメリカよりもパンデミック対策がうまくいっているとされたヨーロッパだが、現在は感染拡大の第2波にのみ込まれつつある。10月14日までの1週間で新規感染者数は1日当たり平均で10万人を突破。世界の新規感染の約3分の1がヨーロッパとなっている。
感染第2波はそれなりに予想されていた
中でも状況の悪化が目立つのがフランスだ。エマニュエル・マクロン大統領は14日、パリなど9都市に午後9時から翌午前6時までの夜間外出禁止令を発令、17日に発効した。「ウイルスはフランス中にいる」。マクロン氏は保健衛生上の緊急事態を宣言し、国民にこう語りかけた。
感染の再拡大を受けて、チェコのプラハとイギリスのリバプールではパブやクラブが閉鎖され、アムステルダムでは屋内の公共スペースでのマスク着用が義務づけられた。一方、1日当たり感染者数が14日に過去最高となったロシアでは、プーチン大統領が同国で2番目となるワクチンの承認を発表、次々と浮上する不都合なニュースから国民の目をそらそうとした。
ドイツのメルケル首相が13日に発した言葉は、ヨーロッパの不安な気分をうまくとらえている。「ヨーロッパのほぼ全域で感染が再拡大しているのを見て、懸念を深めている。過去数カ月間にわたる行動規制の成果を台なしにするわけにはいかない」。
この感染第2波は、それなりに予期されていたことだ。専門家はかなり以前から、気温が下がり、人々が感染リスクの極めて高い屋内で過ごすようになると、感染が再拡大すると警告してきた。
ヨーロッパの一部の国はロックダウン(都市封鎖)を唐突に解除し、「これで普通の生活に戻れる」という誤った安心感を人々に植え付けてしまった。都市封鎖で厳しい政治的な反発にさらされたヨーロッパの指導者は、経済的にダメージの大きい新たな封鎖措置に及び腰で、大抵は可能な限り緩い規制に頼る状況が続いている。
第1波をうまく乗り切ったドイツなどは、今回の第2波でとくに自信を喪失させられている。
6月下旬、プラハのカレル橋ではディナーパーティーが催され、コロナの感染拡大終息を祝って人々がどんちゃん騒ぎしていた。スペインとイタリアは3月と4月にコロナの猛威に襲われたが、7月と8月には国境を開け放ち、バカンスを楽しむ人々を受け入れた。