日本と何が違う?欧州「強烈な第2波」のなぜ 足元では世界の新規感染の約3分の1を占める
ところが今となっては、これらの国々ではおそるべきスピードで感染が広がり、気楽な夏の日々は遠い思い出と化している。
そして10月14日、ドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領はそれぞれの国で、バーやレストランの休業からマスク着用の義務化に至るまで、全国的な規制を多数導入すると発表した。パリ、リヨン、トゥールーズ、マルセイユなどに対するフランスの夜間外出禁止令は少なくとも4週間続く。
「コントロールを失ったわけではない」とマクロン大統領は主張した。「私たちは憂慮すべき状況にあり、何もしないわけにはいかない。だが、パニックになってもいけない」。
限界に近づくパリの集中治療室
ドイツでは13日に5132人の新規感染が報告され、1週間前の2639人を大きく上回った。フランスの新規感染は14日までの7日間で12万人となり、感染率も世界最高レベルとなっている。
パリの集中治療室は10月末までにコロナ患者で70〜90%埋まるとフランス当局は警告。感染が急増したことで、1000億ユーロに上る財政刺激策で経済の再生に軸足を移そうとしていたマクロン氏の計画は混乱に陥っている。
「政府の戦略のすべてが揺らいでいる」と語るのは、世論調査会社IFOP(フランス世論研究所)の政治アナリスト、ジェローム・フルケ氏だ。同氏によれば、マクロン氏の(経済的な)野心は「保健衛生上の観点から火消しする必要性と衝突を起こしている」。
スペインのカタルーニャ州では、14日までの1週間で感染者数が40%増加。州政府が15日から15日間、テイクアウトを除いてバーやレストランを休業させることを決めた。その他の店舗は、定員の30%に入店を制限するよう命じられている。「私たちは極めて難しい状況にある」と、同州暫定首相のアラゴネス氏はツイートした。
公式統計で最近、首都マドリードを抜いて感染率がスペインで最も高くなっているナバラ州では、遊び場や屋外のスポーツエリアの閉鎖、レストランの午後10時閉店を含む新たな制限措置が13日から実施されている。
10月中旬に入り感染者数が4万4000人へとほぼ倍増したオランダでは、政府が部分的なロックダウンを発表。すべてのバーとレストランが14日午後10時から少なくとも4週間閉店することになった。屋内の収容人数は最大30人に制限され、大半のスポーツイベントが中止となる。