日本と何が違う?欧州「強烈な第2波」のなぜ 足元では世界の新規感染の約3分の1を占める

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ルッテ首相はこれまでの方針を転換し、公共の屋内施設でのマスク着用を「強く勧める」とした。オランダ当局は従来、マスクは誤った安心感を与えるとして、感染防止策ではソーシャルディスタンス(社会的距離)に重点を置いていた。ルッテ氏は、政府としてマスクの着用を法的に義務づける考えを示した。

ヨーロッパ最大の死者数を記録しているイギリスでは、ジョンソン首相が再度の全国ロックダウンを強く求める科学顧問と、そのような過酷な対応は経済を破壊すると反発する与党・保守党との板挟みになっている。

ジョンソン氏は12日に3段階の規制ルールを発表。イギリス政府はまず感染拡大の著しいリバプールだけを最も警戒レベルの高い区分に分類したが、マンチェスターなど他の都市もすぐにこの分類に加わる見通しだ。

イギリスではすでに強力な措置が講じられている場所もある。領内の北アイルランドは4週間のロックダウンを開始し、学校も2週間閉鎖すると発表。北アイルランドの1日当たり新規感染者数は4月中旬の第1波では最高でも100人を少し上回る程度だったが、10月中旬に入ってからは900人に迫る水準となっている。

「極めて心配な状況であり、さらなる措置を早急に講じる必要がある」。新たな対策を発表するにあたって、北アイルランド自治政府のフォスター首相はこう述べた。

ウェールズは、イギリス国内でも感染率の高い地域からの入域を制限するとした。

ワクチン自慢のロシアでも感染が拡大

ヨーロッパ各国の中でも、ロシアだけは明るい材料にスポットライトを当てている。ただ新しいワクチンは、プーチン大統領がロシア科学の世界的勝利として8月に発表した第1弾のワクチンと同様、安全性と有効性を確かめるのに欠かせない後期臨床試験がまだ終わっていない。

パンデミック対策のとりまとめを担当するゴリコワ副首相によれば、新しいワクチンは今のところ100人のボランティア(志願者)に試験投与された段階にすぎない。自らも接種したとするゴリコワ氏は「副作用は何も感じなかった」と述べ、現在は全国で4万人のボランティアによる臨床試験が行われていると語った。

新しいワクチンの承認は14日、国営テレビで大々的に取りあげられ、1日当たりの新規感染が1万4231人と、パンデミック始まって以来最悪の数字を記録したという、この日のニュースを目立たなくした。

(執筆:Mark Landler記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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