通信3社が相乗り出資、AI電話ベンチャーの挑戦 営業電話を解析する独自エンジンを開発

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キャリア3社に限らず、出資元の事業会社とは業務提携の側面もある。ミーテルの裏側で音声を認識し、話し方を解析するAIはすべて自社開発だ。今後はこの音声解析エンジンを外部企業にも販売し、新たなサービス開発に役立ててもらう狙いだ。

2020年4月に出資を受けたパーソルグループやエン・ジャパンといった人材会社では面接や社内面談での活用を想定するほか、すでに介護や不動産などの業界で導入が始まっているという。

電話営業の属人化を痛感

単に音声を文字に変換するだけであればアマゾン ウェブ サービス(AWS)やグーグルが提供する音声認識のクラウドサービスがあるが、ミーテルのような話し方の解析まではやっていない。會田氏は三菱商事に勤務していた頃に電話営業の属人化を痛感。事業化を決めると、AIの論文を読み込み、イベントや知人の紹介などでエンジニアをかき集めたという。

會田武史代表は三菱商事出身、ウクライナやサウジアラビアなどでの駐在も経験。今後レブコムとしてはインドネシアなど東南アジアへの進出も計画中だ(写真:RevComm)

レブコムで研究開発を専任で担うのが7人。いずれも大学院や企業の研究所で音声合成や自然言語処理などの研究に取り組んできた人材だという。「一朝一夕には作れないものばかりで、参入障壁は高いと思う。一方でまだまだ改善すべき技術は山ほどある」と平村健勝CTO(最高技術責任者)は話す。

クラウド電話を実現するには、クラウド上に構築したソフトウェア基盤と通信事業者の回線をつなぎ、音声通信を安定させるための工夫が必要だ。また通話の文字起こしなど音声認識の精度に関しては、顧客の営業現場やコールセンターで蓄積された約2200万件の通話データがカギだ。これを基にディープラーニングの仕組みで学習したシステムと、自社エンジニアによる文字変換などの微調整により、精度を上げているという。

強みである話し方の解析は「細かい技術の積み重ねだ」(平村氏)。呼び出しや保留の音と人の声を聞き分けたり、自分が話す側なのか聞く側なのかの判断、句読点を入れる位置、社内や業界の用語の認識など、20~30の技術を組み合わせている。

「いろいろなものに“ミーテル入ってる”という世界を目指したい」(會田氏)。今後は会議の会話解析や営業のアポイントを取るAIのサービスのほか、コロナ禍で延期したアジアを中心にした海外展開も模索する。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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