英語業界でも流行「コーチング」は誰に向くのか 「ティーチング」「カウンセリング」との違いは?

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ビジネスでも、新入社員などに「コーチング」をするのはよくないという意見もあります。「どうしたい?」「どうすればいいと思う?」と質問で引き出そうとしても、そもそも答えがないのではコーチングは成立しないということですね。

コーチングの語源は「馬車」!?

コーチングは、英語のcoachという単語から来ていますが、この語源はハンガリー語のKocsi(馬車)のよう。ハンガリーの街Kocs(コッチ)で、15世紀後半に大型の4輪馬車が開発されて「コッチの馬車」という意味だったそうです。

現在でもcoachには「馬車」という意味が残っていますが、基本的には昔の大型馬車を指すことが多いです。馬車以外の意味としては、飛行機などのエコノミークラスのことをcoach classと言うときにも使います。アメリカではあまり使われませんが、イギリスでは長距離バスのことをcoachと呼んでいます。そして、今回のトピックである指導者としての「コーチ」の意味もあります。

この「馬車」から、どうして指導者やコーチングの意味になったのかと言うと、乗客を目的地まで運ぶstage-coach(乗合馬車)からの比喩的な用法で、目標まで「運んでくれる人」をcoachと呼ぶようになったのがきっかけだと言われています。

「指導者」や「コーチ」が「乗合馬車」から転じた用法だとは、なかなか思いつかないですよね。それはそうとしても、コーチングが目標達成をするための手法であるというのは、もともとの言葉の意味が指しているものが、そのまま残っているということですね。

これに対して、レッスンで行われるティーチングは、どんな意味なのでしょう。teachという単語は、もともとは「見せる」という意味だったというのは、皆さんご存じですか。

この単語の語源は英語のtoken(しるし)で、さらにさかのぼると古英語のtacen(しるし)、ドイツ語のzeigen(見せる)なのだそう。先ほどの定義では、ティーチングは知識を与えるという行為。これは、もともとの単語の意味、「見せる」という行為に沿っているということですね。こちらも言葉そのものが表していた指導の形が残っているようです。

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