一方、スタイルとしてはティーチングと同じ範疇のトレーニング。trainという単語の語源は元をたどるとラテン語のtrahere(引く)という単語のよう。そこからtraha(そり)という単語になり、古フランス語のtrahineを経て英語に入ってきたそうです。
当初、trainは「引きずる」という意味だったようで、そこから服のすそのような何か引きずるものを指すようになり、さらに派生してつながって動く人や乗り物を指すようになり、最終的に「列車」に使われるようになりました。
また、「次々と連なって引き出す」という意味から、「力や才能を引き出していく」という過程のことをtrainingと呼ぶようになったとのこと。コーチングは「馬車」、トレーニングは「列車」と、どちらも乗り物が元の語源だというのは、なんだか不思議な共通点ですね。
trainの原義である「引き出す」という行為は、コーチングやカウンセリングと同じ指導法のように聞こえますが、トレーニングで引き出すのはあくまでも「能力」。その練習方法はトレーナーが与えていきますので、指導のスタイルとしてはティーチングのグループということなのでしょう。コーチングと同じスタイルなのであれば、どのように練習すればいいかというのを本人から引き出していくことになるはずですから。
厄介なのは、カウンセリングとコンサルティング。この2つ、実は同じ語源のようなのです。ラテン語のconsulere(相談する)という単語から、どちらも派生したと言われています。consultはそのまま「相談する」という意味で使われ、counselはラテン語のconsilium(忠告)という単語を経て、「忠告する」「助言する」という意味になったようです。とすると、これらはもともとの単語の意味と現在の指導スタイルにあまり関連性が見られないということですね。
コーチは厳しい?
「コーチ」というとアラフィフ世代の筆者は、往年のスポ根マンガやドラマの「鬼コーチ」のイメージがあって、ビシビシと厳しく指導される感じがしてしまうのですが、語源のように「目標まで連れていってくれる」というイメージで考えると、馬車やら長距離バスやらに身を任せるがごとく、「コーチ」にすべてを委ねていればいいということなのかもしれませんね。
モチベーションも含めて管理してもらえるという意味では、「ティーチャー」よりもより深い絆で結ばれる関係なのかもしれません。
でも、コーチングの指導方法としては「引き出す」ということなので、あくまでも頑張るのは本人。「馬車に乗って連れていってもらう」というよりは、自分がウマになってむちで打たれているような気も……。
皆さんが習い事をするとしたら、コーチングとティーチング(レッスン)、どちらのほうがお好みですか。そんなことを考えるきっかけになればと思います。
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