未来思考 10年先を読む「統計力」 神永正博著
ニュースは「目を引くように加工されている」とわかっていても、その真偽を生データや学術論文に丹念に当たって確かめようとする人はまずいない。しかしそれでは、「捏造される事実、操作される報道」のままになってしまうかもしれない。真偽を確かめるには、どうしたらいいか。著者は「統計探偵」の趣で指南してくれる。
たとえば、「首都直下大地震は起こるのか」。報道は2004年だが、「30年内に70%の確率で起こる」という内容だけに、検討価値はまだ十分にある。その発信源は「相模トラフ沿いの地震活動の長期評価」という報告。結局、本書で「70%よりずっと低い」という結論に至る一方、時間軸を伸ばせば可能性が高いことが教えられる。
むしろ本書の真骨頂は、少子化や格差社会の展望にあるのかもしれない。残念なことに、経済的社会的に広く目配りしていることが、論旨をわかりにくくしているところもある。
朝日新聞出版 1680円
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