「核のごみ」問題、北海道で起きる深刻シナリオ 寿都町、神恵内村が最終処分場の調査に応募

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北海道では2018年7月の札幌を皮切りに、旭川や函館、北見、帯広などで対話集会が開催されてきた。寿都町や神恵内村で対話集会は開かれていないが、「町からの要請で講師を派遣し、小規模な勉強会は開いた」(NUMO)という。

文献調査入りすると、住民との対話集会が活発化しそうだ(記者撮影)

かつてニシン漁で栄えた人口2900人あまりの寿都町は、いまでも漁業や水産加工業が主要産業だ。ウニやイクラの返礼品でふるさと納税の人気も高く、2018年度の納税件数は全国16位。一方、財政規模に占める借金の比率を表す実質公債費比率は13.6%(2018年度)と道内179市町村の中でワースト19位だ。

神恵内村は人口800人余りと、さらに小さい。北海道電力泊原発から半径30㌔圏内に位置し、原発立地自治体に交付される電源立地地域対策交付金を受けている。実質公債費比率は4.6%(2018年度)と、寿都町とは対照的に道内屈指の健全財政の自治体だ。原発マネーで潤う村ということもあり、住民の核関連施設へのアレルギーは薄い。

寿都町に存在する地下断層

もっとも、文献調査に手を上げた片岡町長らに、処分場を本気で誘致する意志があるわけではない。片岡町長は「処分場の議論に一石を投じたい。全国で手が挙がればいい」と繰り返し語っている。9日も記者から誘致の可能性を問われ、「順序を追って議論していくべき。焦る必要はない」と言葉を濁した。

両町村トップの意思とは別に、物理的に最終処分場の適地かどうかも疑問視される。寿都町には地下断層があり、神恵内村に至っては、ほとんどの地域が火山の半径15㌔圏で、処分場の立地には不適とされている。「神恵内村の南側はわずかに15㌔圏から外れていて、そこで可能かどうか検討する」(NUMO広報)としている。

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