トイレに行きたいときは、刑務官に声をかけると鍵をあけてくれる。何度も声をかけていたら、
「めんどくさいから自分で開けろ」
と鍵を渡された。
「逃げようと思ったら逃げられましたね。でも下手に逃げて撃ち殺されたらかなわんと思っておとなしくしてました。
結局ディレクターが、刑務官にお金やタバコを渡して許してもらったみたいです。日本じゃ考えられないですね。1万~2万円渡したんだと思いますけど、向こうの人にとっては大金だったみたいで、そこからはニコニコと笑顔でお客様対応してくれました」
エクアドルでは、汽車の屋根の上に乗って移動した。枝がブンブンと飛んできて危なかった。
途中で線路上に大きな岩が落ちていたため立ち往生してしまった。
「車掌がきて、お前ら手伝え!!って言われて乗客全員で岩を押しました。でもそれでも、岩は落ちませんでした」
汽車は一旦バックして岩から距離をとった。諦めるのかな?と思ったら、全速力で岩に体当たりした。
ガシャン!! ガシャン!! と衝撃音が鳴り響いた。
「やっと岩は崖を落ちていったんですけど、崖の下にはたくさんの家が建ってました。どうなったことやら?って思います」
ラスベガスでは強盗に銃を突きつけられた。30~40ドル盗られたが、
「バーガーキング行きたいから5ドルだけ返してくれ」
と頼んだら、返してくれた。
25歳の誕生日は、コスタリカで迎えた。
そんな厳しい旅の中でも、いちばん印象に残っているのは、ボリビアだという。
ボリビアは昼間は暑いが深夜は猛烈に寒い。山の上を走っていた自動車が故障してしまい、息が凍ってしまうような中で朝まで過ごした。
「その流れで、ウユニ塩湖から数時間行った場所にある山の宿みたいな場所に泊まったんです。夜になると星が手に取れるくらい近かった。ブルーの湖に星が映って、360度視界のすべてが星空になりました。今までの人生で見た中で、いちばんキレイな景色でした。どこだったのか、正確にはわからなくなってしまったのが残念ですね」
そんな過酷な旅だったが、それでも日本に帰ったら人気者になれると、思っていたからこそ頑張れた。
日本に帰ってきたがまったく話題になっていなかった
「メキシコくらいで『視聴率悪いから番組終わるよ。どうする?』って言われました。
『最後まで行かせてください』ってお願いしましたけどショックでしたね。
その後なんとかゴールして日本に帰ってきましたけど、まったく話題になってなかったです。取材すら1件も来なかったです。旅に行く前とまったく変わらない、アルバイトの日々が待っていました」
帰ってきても鳴かず飛ばずだったため、安田と竹内は解散することになった。
「会社には次の相方は、背が高いイケメンにしてって頼んだんです。かっこいい相方に乗っかろうと思ったんですね」
そして、団長さんの前に連れられてきたのは、HIROさんとクロちゃんだった。
当時のマネージャーはぬけぬけと
「背は高いし、見ようによってはイケメンですよ」
と言った。
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