「ペットの老後」飼う前に知るべき介護のリアル 慢性的な睡眠不足で倒れる飼い主も
ペットも高齢になると、慢性的な病気を抱えたりして病院代や薬代がかさむ。まして人間と違い公的保険がない。飼い主の負担を軽くするためにも、平端さんはケア用品を手に入りやすいもので代用できるテクニックを伝授する。
「例えばオムツは、人間の赤ちゃん用のオムツを尻尾の位置に穴をあけて使います。そのほうがポリマーの品質もよく経済的。また、寝たきりで床ずれができたときはトイレ用シーツを床ずれの形に合わせて切り、上から穴あきポリ袋とサージカルテープを患部にあてればOK。消化機能が低下したペットには、ペースト状やスープ状の食事を与えますが、哺乳瓶や人間用の介護スプーンで代用できます」
飼い主1人で抱え込まないで
ペットの介護をめぐる悩みや問題は、周囲の理解やサポートを得づらいため、飼い主1人で抱え込みやすい。「デイケアなど、ペット向けの介護サービスを利用してほしい」と、平端さんは言う。
前出の協会が開催するデイケアでは、食事や排泄の世話をはじめ、入浴、耳・目・歯の掃除、マッサージやリハビリになる運動などを行う。とくに、夜にぐっすり眠れるよう、日中に思い切り遊ばせている。こうした刺激は認知症にもよい影響を与えるそう。
「ペットの介護も人間と同じように、家庭の中で女性が担い手になることが多いんです。ペットのケアは大切ですが、飼い主さんの心のケアも、もちろん大切。デイケアでもケアマネでもいいので、誰かを頼ってほしいですね」
最近、とくに力を入れているのが介護予防。後ろ脚から弱ると立てなくなるため、おやつなどで「おすわり」をさせ、立ち上がってという動作を繰り返す。これだけでスクワット効果がある。
平端さんは現在、動物病院での勤務のほか、都内のカフェで月に2~3回、シニア犬への整体を行っている。予約はすぐに埋まるという。
「ペットは1頭1頭、みんな違って奥が深い。介護に悩む飼い主さんにいろいろな情報を発信したいと思ってます」
(取材・文/吉田千亜)
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