日本が「債権取り崩し国」になる日が早まった

コロナ禍による構造変化は経常黒字を減らす

コロナ後経済の「新状態」がどのような姿になるか、現段階で見通すことは困難だが、「国際収支の発展段階説」のフェーズが1つ進むことで「債権取り崩し国」にシフトする可能性は十分にあるだろう。少なくともコロナ禍においては、貿易・サービス収支が赤字となり、所得収支の黒字が減少して、経常黒字も減っている。いずれも「債権取り崩し国」に近づく方向の変化である。そして、この傾向は当面続く可能性が高い。

貿易・サービス収支については小幅な赤字が続く可能性が高い。世界経済が低迷した状況では輸出が伸び悩むだろう。パンデミックの影響で特にインバウンド(外国からの訪日客による)消費の取り込みが困難になる中、サービス収支の改善も見込みにくい。

第1次所得収支が減るおそれ

足元の第1次所得収支の黒字は、直接投資と証券投資の黒字がおおむね半分ずつとなっているが、世界経済の悪化によって直接投資の黒字が大きく減少する可能性が高い。直接投資の利回り(直接投資の残高に対する直接投資収益の年間リターン)は世界経済の成長率に連動しやすく、2009年の世界金融危機時には利回りが半分以下となった。

また、政府はコロナ禍の教訓として強固なサプライチェーン(供給網)の構築を目指しており、主に中国から分散させるための「生産拠点の国内回帰」に補助金を出している。むろん、人口減少社会において需要不足と働き手不足の双方を補うべく、一定の対外直接投資の増加は続くとみられるが、仮に対外直接投資が伸び悩めば、直接投資収益の減少も避けられない。

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