日本が「債権取り崩し国」になる日が早まった コロナ禍による構造変化は経常黒字を減らす

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日本の経常収支は新型コロナの流行前で月に1~2兆円程度の黒字で、コロナ後でも1兆円前後の黒字を維持している。経常収支のうち、貿易・サービス収支はほぼゼロの状態が続いており、経常黒字のほとんどは直接投資や証券投資を合計した第1次所得収支となっている。

貿易・サービス収支は明確に赤字が定着しているわけではないが、2014年以降に原油価格が大幅に下落して輸入コストが低下したことで、なんとか赤字定着を免れている面がある。それまでの数年間は赤字続きであったことを勘案すると、日本は「成熟した債権国」の特徴である貿易・サービス収支の赤字、所得収支の大幅な黒字、経常収支の黒字(=資本収支の赤字)にすべて当てはまっている。

所得収支によって経常黒字は維持されている

すでに日本経済は財の貿易やサービスによって黒字を積み上げるフェーズは終えており、これまで積み上げてきた対外資産による所得収支の黒字によって経常黒字が維持されている、いわゆる「投資立国」の状態だ。

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