強引な退院でもトランプ大統領が不利なワケ 大統領再選阻止、バイデン有利に働く3つの要因
再選を阻む3点目の理由が、選挙キャンペーンの中枢にいるはずのトランプ氏がしばらく不在となることだ。さらにはビル・ステピエン選対本部長やロンナ・マクダニエル共和党全国委員長、ケイリー・マクナニー大統領報道官、そしてキャンペーンを手伝っているクリス・クリスティ前ニュージャージー州知事などの大統領側近が相次いで感染し、トランプ陣営は危機的状況にある。
トランプ氏の感染発表後、選対本部は大統領が登壇を予定していた支持者集会などを相次いで中止し、支持者集会は副大統領の討論会開催の10月7日までバーチャルなものに変更した。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の推奨する発症から10日間の自己隔離に従えば、大統領は選挙までの残り3分の1程度は支持者集会などで対面でのキャンペーン活動ができない。
活動の活発さという点で両者が逆転
一方、バイデン氏は激戦州などで対面での選挙活動を本格化している。同氏は大統領が感染を発表した10月に入り激戦州ミシガンやフロリダに飛んで「地上戦」を展開している。バイデン氏は直近までコロナ感染に配慮し対面での選挙活動を控えていたため、トランプ氏はバイデン氏を自宅の地下室に隠れていると批判してきたが、今や立場が逆転している。
2020年大統領選ではコロナ感染懸念から郵便投票が拡大し、約6割の有権者が期日前投票すると予想されている。2016年大統領選の約4割からは大幅な上昇となる。フロリダ大学の「アメリカ選挙プロジェクト」によると、すでに300万人以上が投票済みという。うち投票者の登録政党を公表している州では、民主党登録者が54%と共和党登録者の24%を大幅に上回る。残り1カ月、トランプ陣営は郵便投票での追い上げと、支持者に投票所に行くように働きかける必要がある。だが、コロナ感染で大統領や選対本部長が本格的に指揮を執れず、そのダメージは大きい。
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