強引な退院でもトランプ大統領が不利なワケ 大統領再選阻止、バイデン有利に働く3つの要因

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再選を阻む2点目の理由がトランプ氏の経済復興策が信憑性を失ったことだ。これまで世論調査における有権者の評価で、トランプ氏がバイデン氏よりもつねに上回ってきたのは、経済運営であった。

政権は全米の州政府に対しコロナ関連の活動規制を緩和し経済の早期再開を促してきた。だが、大統領の感染でパンデミックを過小評価した経済復興策は失敗であったことが顕著となった。大統領が自らの経済政策の物差しにも利用してきた株価も感染発覚後に乱高下した。

過去数カ月、バイデン陣営は大統領がコロナ収束に苦戦しているとの主張を展開し、経済復興にはまずはコロナ対策が先決と訴えてきた。だが、今や大統領感染でバイデン氏がそれを国民に証明する必要がなくなった。専門家の助言に従って行動すべきとのバイデン氏の主張が正しかったとの認識が今後広まるかもしれない。引き続き、大統領は国民のコロナ感染リスクをないがしろにして、経済活動の早期再開を訴え続けるかもしれないが、もはやこれは説得性に欠ける。

「重要なのはコロナ、愚か者!」となるのか

「重要なのはコロナ、愚か者!(It’s the COVID, stupid!)」という言い回しが当地専門家の間で聞かれる。これは1992年大統領選で勝利を収めたビル・クリントン候補の選挙参謀であったジェームズ・カービル氏が当時、選挙本部の白板に「重要なのは経済、愚か者(THE ECONOMY, STUPID)」と戦略を記載し、クリントン陣営のキャッチフレーズとして流行ったものを今流になぞらえたものだ。

ジョージ・H・W・ブッシュ政権が低迷する経済に有効な策を打ち出すことができなかった点について、クリントン陣営はとことん追及する狙いがあった。だが11月の大統領選で経済問題は引き続き重要であるものの、現在の不景気の主因でもあるのがコロナ問題だ。大統領感染でコロナ問題は、選挙戦で最重要課題とならざるをえない。

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