アメリカで大統領選後に大混乱が起きるワケ トランプ氏は今から選挙に関して不穏な動き
今から気が早いが、今年の11月4日、アメリカ社会は大混乱に陥っているかもしれない。前日3日の大統領選で、トランプ大統領の再選あるいはバイデン民主党候補の圧勝が明確でなかった場合、トランプ陣営は即時に選挙の正当性について疑問を呈する可能性が高いからだ。
今年の大統領選は、選挙後の大混乱の引き金となりうる3つのリスクをはらんでいる。第1に対コロナで選挙実施体制が準備不足になること、第2に選挙制度への国民の信頼を蝕(むしば)む大統領の発言が繰り返されていること、そして第3に敵対国の介入懸念のあることだ。
対コロナで予測不能、準備不足の選挙実施体制
今秋、アメリカに新型コロナ感染の第2波が訪れる懸念は消えていない。仮に第2波が到来していない場合でも、いまだに世界最大のコロナ感染者数を誇るアメリカでは国民は感染懸念から、投票所に足を運ぶのではなく郵便投票を選択する可能性が高い。
過去約20年間でコロラド、ハワイ、オレゴン、ワシントン、ユタの5州は、州の全有権者に対する郵便投票の制度を導入済みだ。だが、激戦州を含む全米のほとんどの州では、全有権者に対し郵便投票を導入する場合、初の試みとなる。
アメリカの選挙運営は地方自治体が担っている。大統領選も例外ではなく、連邦政府ではなく3000を超える郡政府が各州の選挙法に基づき個別に運営している。だが、コロナ禍の下での大統領選では、この分権化された選挙制度がトラブルのもととなりかねない。
郵便投票に備え、その開票作業に必要となる郵便自動仕分け機などを各自治体が発注し始めているが、そうした機械を製造している国内企業は限られ、在庫不足に直面する可能性が指摘されている。パンデミック当初、州政府の間で人工呼吸器などの取り合いが見られたが、郵便自動仕分け機も郡政府の間で取り合いとなり、全国的な連携がない中、選挙当日までに準備ができない郡も出てくるかもしれない。
慣れない郵便投票の問題は現在実施中の予備選でもすでに散見される。ジョージア、ルイジアナ、サウスカロライナ、ロードアイランド、ウェストバージニアなどの州に加えワシントンDCで行われた予備選では、不在投票を申し込んだものの選挙当日までに郵便投票用紙が届かなった有権者が数千人にも上ったと、ニューヨーク大学法科大学院のブレナン司法研究センターは報告している。
郵便投票のオプションがあっても、さまざまな理由で投票所に足を運ぶ有権者が多くいる可能性もある。だが、投票所においても準備不足から混乱の起きるリスクが高い。
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