「老後資金2000万円問題」に悩む人の為の処方箋 過度な心配は「人生を生きづらくする」だけ

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月の支出は死ぬまでずっと26万円もいるのでしょうか。そもそも、毎月5万5000円足りないという試算がどうなのでしょう。持ち家に住んでいる夫婦もいれば賃貸住宅に住む夫婦もいて、食料は半分自給自足なんていう人だっているかもしれません。収入や年金の額も、支出の額もみんな違うわけですから、一様にいくら足りないという考え方はやめたほうがいいと思うのです。

もっと言えば、どんなに稼いだり、貯めていたとしても、お金の不安は尽きることがありません。

実際、どのくらいの稼ぎ(貯蓄)があると安心かというアンケートをすると、1年に500万円稼いでいる人は1000万円あれば安心と答え、1000万円の人は2000万円と、現状の倍の額を答える人が多いといいます。これは1億円以上の資産がある人でも同じようです。

つまり、「いくらあってもお金の不安はなくならない」のです。いくらあってもお金の不安はなくならないのなら、「不安に思うだけ損じゃないか」というのが僕の結論です。

お金とどこかで折り合いをつけて、身の丈に合った生活をし、お金の不安に振り回されないようにすることが大事。お金の安心を追い求めることは、かえって不安を追い求めることになってしまうからです。

過度な心配は生きづらくするだけ

もちろん、夫婦2人で生きていくためには、一定の金額が必要になるでしょう。でも、この金額は自分たちで決めるもの。お金がなければないなりに幸せな生き方を見つければいいのだし、お金が欲しいと思ったら、そこからできる範囲で貯めればいい。どうしても足りないときに借りられる状況にあったら、借りてもいい。お金というものは、自分で付き合い方を決めるものなのです。

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60歳や65歳で働くのをやめたいというのであれば、それなりの蓄えが必要になります。でも今は、働ける間は働いていたいと考える人が大多数でしょう。

具体的に言うと、60歳で貯蓄がなくて心配だったら、70歳までは頑張ってお金を貯めるという計画を立ててもいいし、65歳までの5年間は徹底的に貯金をして、その後のことは65歳になったときに考えようという生き方だってできるのです。

せっかく子育てから解放されて、これからは自分のために生きることができるのですから、やみくもに心配するのはやめて、自分なりのお金との付き合い方を受け入れ、今、この状況からどうやって人生を楽しいものにするかを考えたほうがいいと思いませんか。

弘兼 憲史 漫画家

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ひろかね けんし

山口県出身。早稲田大学法学部卒。松下電器産業(現パナソニック)勤務を経たのち、1974年に漫画家としてデビュー。現在、『島耕作』シリーズ(講談社)、『黄昏流星群』(小学館)を連載するほか、ラジオのパーソナリティとしても活躍中。

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