エレクトロニクス業界は業績底打ちも、本格回復には力強さを欠く《スタンダード&プアーズの業界展望》



 しかし、世界景気の回復の足取りや為替の動向には、なお不透明感があり、製品価格への低下圧力も続くとみられる。このため、スタンダード&プアーズでは、来期以降も各社の収益・キャッシュフローが下方圧力を受ける可能性があるとみている。なおパイオニアについては、業績の底入れ感が鮮明になるとともに資金調達計画が具体的に進んでいることで、今後1~2年の資金計画に対する不透明感が後退したと判断し、2月10日に格付けの「アウトルック」を「ネガティブ」から「安定的」に変更した。

厳しい事業環境下で早期の収益回復を図るため、パナソニック、ソニー、シャープの大手3社は10年3月期に数千億円規模の固定費削減を進める一方、成長が期待できる新興国での市場地位の強化に向けて、各国のニーズにマッチした製品の開発や、販売体制の強化を急ぐ方針である。また外部委託の積極化など、生産体制の一段の効率化にも取り組んでいる。

ただし、すでに新興国市場の展開で先行している韓国主要メーカーは、自国通貨安の追い風もあって、新興国の需要を取り込み、日本メーカーを上回るペースで業績を回復させている。商品開発力やグローバルなブランド力が高まっている韓国メーカーとの競争は、今後一段と激化する見通しである。

こうした状況から、スタンダード&プアーズは、国内の格付け先各社の業績動向を慎重に見極める必要があるとみている。主要国の景気の腰折れや急激な円高によって業績が再び大幅に悪化する場合や、競争激化によって市場地位の低下が懸念される場合には、格下げの可能性が高まろう。一方、格付け/アウトルックの上方修正に向けては、今後数年間のキャッシュフローや財務内容が着実に回復に向かう見通しが高まることが重要と考えている。

<総合電機>

国内総合電機各社は生産・販売拠点の統廃合などを通じて固定費を大幅に削減し、日立製作所(BBB+/安定的/A−2)、東芝(BBB/ネガティブ/A−2)、NEC(BBB/ネガティブ/A−2)は巨額の資本増強などによって収益や財務の悪化抑制に取り組んできたこともあり、国内各社の信用力の悪化には歯止めがかかりつつあるとスタンダード&プアーズはみている。

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