エレクトロニクス業界は業績底打ちも、本格回復には力強さを欠く《スタンダード&プアーズの業界展望》



 両社とも08年秋以降の受注の急激な減少で業績は大きく落ち込んだが、その後、拠点の統廃合や人員整理など固定費の削減により損益分岐点の改善を図ったことや、受注の回復に伴い、09年7~9月期には4四半期ぶりに営業黒字に転換した。収益の回復に加え、設備投資の抑制によって、10年3月期にはフリーキャッシュフローの赤字を避けられる見通しだ。

ただし、世界的に個人消費が本格的に回復するには数年を要するとみられるうえ、最終製品価格への低下圧力とともに部品価格への低下圧力も続くとみられる。また「高機能化の進展に伴い1台当たりに使用される電子部品数の増加が続く」構図にも陰りが見られる。このため、11年3月期も両社のキャッシュフローの回復は緩やかなものにとどまるとスタンダード&プアーズはみている。

今後、需要の後退などでキャッシュフローと財務内容の回復が妨げられる懸念が高まれば、格下げ圧力が強まろう。一方、需要の回復基調とコスト構造の改善に支えられ、収益と財務の持続的な回復見通しが強まれば、アウトルックを安定的に戻す可能性がある。

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