「異質なペアを作れ」この先、稼げる人の共通点 「本気の知的闘争」できるプロ人材が生き残る

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遠藤:なぜそれが可能になったかといえば、そのピーター・ティールと、SOMPOホールディングスのグループCEOである櫻田謙悟さんが思いを共有し、人間としての波長が合っているからです。まさに「相互主観性」が成立しているといっていいでしょう。

お互い「異質」でないと「ペア」の意味がない

遠藤:櫻田さんに聞いたら、彼とはビジネスの話はほとんどしないそうです。ピーターはスタンフォード大学出身なのですが、学んだのは「哲学」です。2人で哲学の話をして盛り上がっているそうです。

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野中:それはとてもいい話ですね。共感を生み出す最低人数は2人です。お互いの主観をぶつけ合い、葛藤しながらも、共感まで持っていくと、「イノベーション」や「ブレイクスルー」が起こる「創造的ペア」というわけです。

日本でもアメリカでも「ペア」で経営する企業が成功する場合が多い。日本ではソニーの井深大と盛田昭夫、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫、あの松下電器(パナソニック)だって、松下幸之助には高橋荒太郎という大番頭が影のように付き添っていました。

アメリカだったら、スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックがアップルを作りましたし、グーグルもラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの2人が創業者です。

遠藤:その場合、お互い「異質」でないと「ペア」の意味がないのでしょう。同質だと「葛藤」が生まれませんし、「知的コンバット」もできない

野中:『ワイズカンパニー』も竹内弘高さんとの共著ですが、彼は徹底したロジカル派、私はどちらかといえば感覚派なので、2人の葛藤と斬り合いから生まれた本です。

(構成:荻野進介)

野中 郁次郎 一橋大学名誉教授

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のなか いくじろう / Ikujiro Nonaka

1935年東京都生まれ。58年早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カリフォルニア大学(バークレー校)経営大学院にてPh.D.取得。南山大学、防衛大学校、一橋大学、北陸先端科学技術大学院大学各教授を歴任。日本学士院会員。知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威で、海外での講演多数。主な著作に『知識創造企業』(共著、東洋経済新報社)、『失敗の本質』(共著、ダイヤモンド社)などがある

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遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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