「異質なペアを作れ」この先、稼げる人の共通点 「本気の知的闘争」できるプロ人材が生き残る

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野中:リモートだと、人間の五感のうち、「視覚」と「聴覚」しか使えず、しかも、その2つもディスプレイとスピーカーが介在しますから、完全ではありません。「知的コンバット」は、「五感」はもちろん、時には「第六感」も駆使し、お互いが全身全霊で向き合い、「暗黙知」をやり取りしないとできません

野中郁次郎(のなか いくじろう)/一橋大学名誉教授。1935年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造勤務の後、カリフォルニア大学(バークレー校)経営大学院にてPh.D.取得。南山大学、防衛大学校、一橋大学、北陸先端科学技術大学院大学各教授を歴任。日本学士院会員。知識創造理論を世界に広めたナレッジマネジメントの権威。主な著作に『知識創造企業』『失敗の本質』などがある(撮影:梅谷秀司)

遠藤:それは「人間」に限らず、「物事に取り組む」ときもそうですね。

野中:遠藤さんが本に書いている「新幹線の清掃」しかり、「ホットケーキづくり」しかり、そうですよね。物事と全身全霊で向き合うと、人間の感覚質に「膨大な暗黙知」が生じる仕掛けになっています。

遠藤:「現場力」も、そこから生まれます。

野中:そういえば、この間、NHKの「プロフェッショナル」で広島のお好み焼き職人の方が特集されていて面白かったので、つい見入ってしまいました。お好み焼きはすごいですね。キャベツの切り方、火加減など「暗黙知のかたまり」です。

遠藤:ホットケーキも「暗黙知のかたまり」です(笑)。相手が人間であれ物事であれ、リアルの対面でないと、「暗黙知」という創造力の源泉が出にくいというわけですね。

全身全霊で向き合うと「暗黙知」が生まれる

遠藤:ところで、満を持して上梓された新著『ワイズカンパニー』、拝読いたしました。名著『知識創造企業』の四半世紀ぶりの続編ということですが、カンパニーに「ワイズ」と冠したところが新鮮ですね。

野中:「知識創造」、つまり「ナレッジ・クリエーション」の次は、「ナレッジ・プラクティス」だろうと、当初は「知識実践企業」というタイトルを考えていたのです。前著のメッセージは「情報から知識へ」で、具体的には「形式知」と「暗黙知」を相互変換させる「SECI(セキ)モデル」を提唱しました。

一方、今度の本のメッセージは「知識から知恵へ」です。そのために必要なのが「実践知」、つまりアリストテレスがいう「フロネシス(賢慮)」なのです。

「SECIモデル」に「実践知」を組み込むことで、モデル自体がスパイラルに上昇していく。われわれはそれを「SECIスパイラル」と名付けました。

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