7月から8月にかけて等潤病院の外来患者でも連日、PCR検査で陽性者がでるほど、疫学的に足立区に限らず都全体で新型コロナの感染が拡大。そういった状況の中で、等潤病院でクラスターが発生した。クラスターの定義は、感染者数でいうとおおよそ5人以上感染し、別の病室で感染者が出ることなどの事象を指す。
クラスターとなった7人のうちの6人の入院患者5人が、新型コロナ疑い患者として救急搬送されてきた。全員がほぼ高齢者で、1人は区外の介護施設からの患者だった。個室管理をしながら、PCR検査をして「陰性」を確認したので、一般病床に移した。
ところが、入院経過の中で突然、発熱の症状が出て、再度調べたところ、PCR「陽性」となった。最初の発熱が8月15日にあり、一般的な治療を行った。抗原検査をしたら「陽性」となり、同室者の4人の患者のうち、もう1人発熱患者がいて、その患者の抗原検査は「陽性」だった。残りの2人は発熱症状がなかったが、念のためPCR検査をしたところ「陽性」だった。
この事態に並行して保健所に連絡したところ、同じ階の患者全員を調べるよう指導があったのでPCR検査をしたところ、離れた大部屋の患者1人から「陽性」が出た。ほかの階の病棟では発熱者を優先して調べたところ、同じく大部屋で1人がPCR検査で「陽性」となった。これでクラスターの基準に該当したので、区と都に相談して調査を開始することになった。
職員の感染対策は問題なし
記者会見翌日の24日から9月2日までの間、保健所と都実地疫学専門家チーム、それに厚労省のクラスター対策班、感染対策チームの合同調査が実施された。この期間中ほぼ毎日、10人を超える調査担当者が病院を出入りした。しかし、これらの疫学調査ではいろいろな可能性はあるものの、感染経路や大部屋の同時発生以外の患者発生の関連について特定されるまでには至らなかった。
この調査の期間中、新型コロナ下の感染防止対策などのチェックを受けた。現場の感染防止対策の細部についてコメントがあり、さらに職員全員が均質な感染防止対策を確実に実行できる体制を構築するよう指導を受けたが、基本的な感染対策の方針や手順に深刻な問題点を指摘されることはなく、改善命令などが出されることはなかった。
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