等潤病院では3月から病院の敷地内に屋外テントを張り、病院入口では一般患者、発熱患者、さらには新型コロナ疑い患者の、3つに動線をはっきりと分けた。トリアージナース(患者の重症度を判断し、診察の優先順位を決める看護師)も配置した。入口で新型コロナ疑いとされた患者は、救急搬送用の控室で待機してもらった。また、救急搬送で新型コロナ疑い患者を受け入れる際は、ほかの疾患の患者と分けて待機するよう誘導していた。
厚労省のクラスター対策班などの調査が入り、第三者の客観的な視点からの評価を受けて、職員たちはかえって、これまで自分たちが取り組んできた感染防止対策は基本的には間違っていなかったと確信した。
調査に立ち会っていた伊藤院長は、「外来の発熱患者への対応や、新型コロナ疑い患者を含めた救急搬送患者を受け入れるための工夫を評価された。合同調査をきっかけに職員の士気が一気に上がった。職員の多くが感染防止対策をさらに徹底して、この地域住民の医療を守ろうというムードが高まった」と当時を振り返る。
インフル同時流行時の医療事情はより深刻に
新型コロナ感染者の増加ペースは8月中旬頃をピークに鈍化しているものの、秋冬の季節性インフルエンザの流行時期に、感染拡大が再燃する可能性がある。伊藤院長は、「感染防止対策を充実させて等潤病院が、地域の最後の砦として2次救急病院の役割を果たしていく姿勢は堅持していく」とぶれることはない。
一方、新型コロナPCR検査とインフル迅速検査の検体採取は同じような方法で、インフル迅速検査はこれまで一般の診療所においても積極的に実施されてきた。伊藤院長は「新型コロナが流行する中で、これまでのようにインフル迅速検査などを多くの医療機関でできるのか、という話になってくるだろう。もし、検査や診療が特定の医療機関に限定されることとなれば、ただでさえ新型コロナで逼迫している医療事情はさらに深刻になる」と危惧する。
新型コロナとインフルが同時に流行したときの対応を個々の医療機関の判断に委ねるのは難しく、両者を踏まえた地域の医療提供ガイドラインなどの整備が急務だ。
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