日本人の「美容整形」狙う中韓ベンチャーの思惑 巣ごもり需要で平均単価がアップした企業も
「外出自粛で軽めの施術が減る一方で、肌の手術や顔の脂肪吸引といった大きめの手術が増えている。大型手術は心身の負担が大きく、1~2週間程度は自宅にいたほうが楽」(毛代表)。リモート勤務によって仕事を休む必要がなく、打ち合わせもオンラインとなることで、他人に気づかれることなく、ひっそり手術を行えるというわけだ。
少子高齢化が進む日本だが、美容医療の市場は拡大している。国際美容外科学会などの業界統計によると、2014年に126万件だった国内美容整形件数は2017年に320万件に増えた。市場規模は約7500億円と世界4位で、このうち20~30%を広告宣伝費が占めるとされる。
背景には若年層の意識の変化がある。かつては美容整形というと、表立って友人や知人に相談しにくい雰囲気もあったが、「大学時代の友人も普通にやっている人が多く、抵抗感はない」と佐々木さんは話す。SNS(交流サイト)やトリビューのような美容医療に特化した口コミ情報アプリが登場したのも追い風だ。
いたずらに高額な契約を勧められることも
一方、美容医療は自由診療が中心のため、個々のクリニックが自由に料金を設定できる。いたずらに高額な契約を勧められたり、副作用などのリスクについての説明が不十分だったりといったトラブルも絶えない。国民生活センターによると、消費者から寄せられた相談件数は2019年に2032件と2017年比で8%増えた。
トリビューは投稿内容の監視や本人確認を行い、クリニックにとって都合の悪い内容であっても「利用者の投稿を一切消さずに運営している」。今後はクリニックと利用者の間でトラブルが生じたときの相談窓口の設置も検討し、信頼性を高める考えだ。
日本よりも美容医療の「オンライン化」で先を行くのが韓国や中国だ。投資家から大きな資金を集めて急成長するスタートアップが現れ、日本市場にも熱い視線を送る。
韓国で美容医療情報アプリ「カンナムオンニ」を運営するヒーリングペーパー(ソウル市)はそうした企業の1つだ。同社は8月、日本の新興企業であるティンク(東京都・港区)が運営するアプリ「ルクモ」を買収した。約15万人のユーザーを持つルクモを取り込み、日本事業を拡大する狙いだ。
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