日本人の「美容整形」狙う中韓ベンチャーの思惑 巣ごもり需要で平均単価がアップした企業も

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ヒーリングペーパーは医師出身のホン・スンイル代表らが2012年に創業した。美容整形市場におけるクリニックとユーザーの情報不均衡の問題をITで解決するため、2015年から「カンナムオンニ」を開始。美容医療に悩みを持つ顧客に対し、施術体験談の提供、クリニック検索、カウンセリング予約までを一貫して提供する。

直近の美容クリニック掲載数は1800件、アプリのユーザー数は230万人に達し、韓国でトップ。中国や韓国のベンチャーキャピタルなどから累計で233億ウォン(約21億円)の資金調達にも成功している。

カンナムオンニのアプリ画面(写真:ヒーリングペーパー提供)

2019年11月にはカンナムオンニの日本語版のアプリを投入した。「韓国だけでなく、日本においても医療市場の情報不均衡の課題を解消したい」。ヒーリングペーパー日本法人の加藤雄太代表は進出の狙いを説明する。

同社が着目するのはアウトバウンド、すなわち日本人ユーザーによる訪韓需要だ。アプリの自動翻訳機能を活用し、韓国のクリニック情報を日本語で提供したり、韓国語がわからない日本人でも現地の韓国人や医師と会話したりできる。

今回、ルクモを買収することにより、韓国だけでなく、日本のクリニックの口コミ情報(約10万件)や予約導線を国内外のユーザーに提供できるようになる。「中国の整形トレンドがナチュラルな整形に移り変わりつつあり、日本の美容医療への関心が高まりつつある」(加藤代表)。将来的には中国などから日本を訪れるユーザーを日本のクリニックへ送客することも視野に入れる。

中国の有力企業も日本に進出

中国の有力企業も日本に進出した。美容整形情報アプリ「新氧(So Young)」を運営するソーヤング・インターナショナル(北京市)だ。2014年設立のスタートアップだが、2019年5月にアメリカのナスダック市場に上場。直近の時価総額は13億ドル(約1400億円)に上る。

同社が発表した20年4~6月期決算によると、コロナ禍にもかかわらず、売上高は3億2820万人民元(約50億円)と前年同期比15%増加。モバイルの月間アクティブユーザー数は平均680万人と前年同期の2.7倍に膨らんだ。

⽇本においては、投資先である美容医療ツーリズム会社の出資により19年10⽉にミーヤング(東京都・中央区)を設立。2020年8月から美容医療の口コミ・予約アプリ「ミーヤング(MiYoung)」の提供を始めた。

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