JR九州、観光列車「36ぷらす3」誕生までの舞台裏 九州を周遊する、その魅力はどこにあるのか

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2年ほど前に初めて新たな観光列車に関する企画会議を開いたとき、最初のプレゼンテーションは「JR九州で初めて」(水戸岡氏)却下されたという。「なぜ却下されたのか」という問いに対して、水戸岡氏は、「当時は“ああ、却下されることもあるんだ”と思いました」と話しはじめたが、その後、青柳社長が引き取って、こう続けた。「その理由を水戸岡さんに聞くのは酷かな。デザインが理由なのではなく、コンセプトが固まっていなかった」。

九州のエピソードをぎゅっと詰め込んで、毎日違うおもてなしをして、世界に九州をアピールするオンリーワンの車両というコンセプトが決まった後、車両デザインが固まった。列車は6両編成で、1~2号車がグリーン個室。3号車がグリーン個室とビュッフェ、4号車が「マルチカー」と呼ばれるフリースペース、5~6号車がグリーン席という構成だ。

1・6号車の床は「畳」

水戸岡デザインの列車の内装にはいつも驚かされるが、36ぷらす3の“驚き”は、1号車と6号車の床が「畳敷き」という点にあった。「畳で設計する人も人なら、了解する会社も会社だね」と、青柳社長が笑う。

水戸岡氏は6月に行ったインタビュー時に「畳の材料のいぐさは対湿性、殺菌効果、消臭効果があるという万能の草。こういうよいものが日本には昔からたくさんあるので、自然の力をもう一度見直して、私たちの生活空間に持ち込めばいい」と話していた(「『ななつ星』デザイナーが考えるコロナ後の世界」)が、今にして思えば、36ぷらす3に畳を使うことを想定しての発言だったようだ。

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